中部大学教育研究15
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2.902.953.003.053.103.153.203.1.2進路選択に対する自己効力の変化進路選択における自己効力について、群と調査時期の2要因混合計画の分散分析をおこなったところ、交互作用と群の主効果ともに有意ではなかった(交互作用F(1,196)=0.69,群の主効果F(1,196)=2.19,いずれもn.s.)。しかし調査時期の主効果は有意であり(F(1,196)=5.77,p<.05)、「自己開拓」の受講の有無に関わらず、授業後は授業前に比べて進路選択に対する自己効力が高まる傾向があることが示された。過去4年の知見において、進路選択に対する自己効力の上昇は「自己開拓」受講生独自のものとして報告されてきたが、2014年度においてはそのような効果は見られなかった。3.1.3時間的展望の変化時間的展望の受講群と統制群別の、授業前後の平均値を図1に示す。群と調査時期の2要因混合計画の分散分析をおこなったところ、交互作用が有意であった(F(1,196)=4.70,p<.05)。そこで単純主効果検定をおこなった結果、統制群においては時間的展望得点に授業前後の差は見られなかった(F(1,196)=1.64,n.s.)が、受講群は授業後は授業前よりも時間的展望が広がる傾向がみられた(F(1,196)=3.17,p<.10)。また、授業前は受講群と統制群で時間的展望に差はないが(F(1,196)=0.11,n.s.)、授業後は受講群は統制群よりも時間的展望が広がる傾向が見られた(F(1,196)=3.32,p<.10)。つまり、「自己開拓」を受講した学生は、授業後に時間的展望が広がるが、受講していない学生にはそのような効果がみられないことが示された。このことは、小塩他(2011)や小塩他(2012)、佐藤他(2013)および佐藤他(2014)で報告された結果と同様であり、一貫してみられる効果であることが示された。3.1.4時間的展望の詳細な変化「自己開拓」受講によって時間的展望に効果がみられることが明らかにされたため、次に時間的展望の4側面のどこに効果がみられるのかを検討した。まず、過去受容において群と調査時期の2要因混合計画の分散分析をおこなったところ、交互作用と主効果ともに有意ではなかった(交互作用F(1,196)=0.43,群の主効果F(1,196)=0.20,調査時期の主効果F(1,196)=0.45,いずれもn.s.)。つまり、「自己開拓」受講によって過去を受容できるようになるという効果は見られないことが示された。―21―キャリア教育科目「自己開拓」の効果表1自尊感情、進路選択に対する自己効力、および時間的展望の平均値(下段は標準偏差)および分散分析の結果図1授業前後の各群における時間的展望の平均値2.492.562.472.502.630.490.48(0.43)(0.46)(0.51)(0.50)2.482.522.382.465.77*2.190.69(0.35)(0.42)(0.50)(0.48)3.073.143.042.990.141.324.70*(0.56)(0.60)(0.61)(0.58)3.203.293.093.010.013.71†3.14†(0.74)(0.81)(0.76)(0.81)2.622.752.592.623.25†0.501.07(0.85)(0.89)(0.81)(0.83)3.343.393.293.280.200.450.43(0.84)(0.87)(0.79)(0.86)3.133.173.052.990.061.461.21(0.77)(0.80)(0.85)(0.78)時間的展望の平均値

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