中部大学教育研究14
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多くのプログラムはおおよそ5泊6日から1週間程度で行われることが多い。パジュキャンプの研修を行っている日本の留学業者のパンフレットなどを見てもその程度である。表1は、パジュキャンプにおける大学生向きの研修のおおよそのスケジュール例である。これを見ると、7泊8日で到着日と出発日を除いた5日間のうち、2日目から5日目までグループワークを含む英語レッスンを受講することになる。基本的には午前、午後とも授業が行われる。また6日目は、ソウル見学に充てられる。この日程表では自由時間になっているが、見学地を設定することも可能である。なお自由時間としているのは、「英語で実際に話してみる」という実践のためであるという説明もあった。また全日パジュキャンプ内の宿舎に宿泊し、その間の食事はすべてキャンプ内の食堂で摂ることになる。業者のパンフレットに示された情報によれば、この日程で、往復航空券、諸税、食費、宿泊費を合わせて10万円弱の費用である。業者は、航空券を切り離したプログラムにも対応しているので、より安価な航空券を利用できれば、さらに価格を下げることも可能と思われる。業者によれば、このような日程を組む理由として、パジュキャンプの方もそのようなサイクルで運営しているということ以外に、1週間以上は参加者がやや飽きるのではないかということをあげていた。なお、パジュキャンプ周辺は、前述のように新都市であるため、アウトレットをはじめとした大型商業施設やレストランなどがあり、利用可能ではあるものの、タクシー以外の交通手段が少なく、移動にやや難がある。3.2英語教育プログラムとその特徴韓国の英語村は、早期留学に対応するための施設であるので、本来は小学生~高校生のための施設である。しかしパジュキャンプでは、そのような特徴は残しながらも近年次第に大学生や社会人に対象を広げている。また本来は韓国人学生だけにネイティブ教員が指導をする施設であったが、ここ数年で、外国人学生を積極的に受け入れている。これらのことを背景として、パジュキャンプの英語教育にはいくつかの特徴が形作られている。第一の特徴は、早期留学の代替施設であるために、体験型の施設であることである。テーマパークのような空間はそのためにあるといってよい。たとえば、郵便局、警察署、銀行などの施設が作られており、日常生活のための英語の体験授業が行われる(写真4)。これ以外にも敷地内にある売店やレストランでも英語を使わなければならない。次に、いわゆる英語レッスンを行うのではなく、グループワークなど、英語を用いて何かを行うプログラムが主体であることである。写真5に示したのは、英語で行われる料理教室である。キッチンが設けられた教室で、グループで英語を用いコミュニケーションをとりながら、料理を作る。また写真6は舞台つきの教室で、やはりグループの中で、英語でコミュニケーションをしながら配役を決め、英語劇を行う授業である。さらに、これらのグループワークは、英語を母国語としない地域から来た外国人学生と、韓国人学生の共同作業で行われるのが非常に大きな特徴である。なお、この際も教員はネイティブスピーカーである。またパジュキャンプでは、開設当時は韓国人学生だけを対象にしていたので、外国人学生はいなかったが、ここ数年で受け入れるようになりこのようなスタイルになったものと思われる。このような英語を母国語としない地域の学生同士が―83―韓国英語村調査報告表1パジュキャンプにおける研修旅行の日程(H社の例・6泊7日)

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