中部大学教育研究14
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(SD)25 (27.5)54 (59.3)9 (9.9)3 (3.3)3.1(0.7)20 (22.0)51 (56.0)17 (18.7)3 (3.3)3.0(0.7)33 (36.3)39 (42.9)17 (18.7)2 (2.2)3.1(0.8)15 (16.5)50 (54.9)24 (26.4)2 (2.2)2.9(0.7)23 (25.3)47 (51.6)20 (22.0)1 (1.1)3.0(0.7)38 (41.8)41 (45.1)10 (11.0)2 (2.2)3.3(0.7)13 (14.3)52 (57.1)24 (26.4)2 (2.2)2.8(0.7)14 (15.4)47 (51.6)22 (24.2)8 (8.8)2.7(0.8)6 (6.6)41 (45.1)38 (41.8)6 (6.6)2.5(0.7)14 (15.4)56 (61.5)15 (16.5)5 (5.5)2.9(0.7)表5わからない用語調べアンケートN=91アンケートの自由記述欄は38名(41.2%)が書いていた。良い点のみを書いてあったのは18名で、「他の人に説明すると自信がつく」「講義の内容がわかりやすくなった」「調べると印象に残り、他の授業で出てきたとき'あの用語だ'と思い出した」「用語を調べることによって、授業のおおよその流れがつかめた」などが述べられていた。一方、「目的を明確にしてほしい」「講義で説明してくれるので課題をやらなくてもいいかなと思う」「普段から自分はしているので簡単な課題だ」など、このセッションの意義や意図が、教員と学生との間で共有ができていなかったと思われる発言があった。また、「時間をもう少し減らしてもよいのではないか」「用語を()抜きにした方が意欲が湧く」「グループによって差があるのでグループを変えたりするのもよい」「説明できた用語はグループで説明を書いて提出する方がよい」などと良くない点を指摘するだけでなく、改善方法を提案する記述が6件あった。以上をまとめると、改善が必要な点は、①各自が調べてきた説明がそれでよいのかと、学生が抱く不安への対処、②わからない用語の数、③毎回調べてこない学生への対処、④授業の導入としての適正な時間配分などである。5考察5.1わからない用語調べの有効性「わからない用語調べ」を事前学習として課すことは、学生の回答にあったように、3種類の事前課題の中で最も支持者が多かった。それは「講義を理解しやすい」「授業中、積極的に聞く」ので授業への積極的な姿勢にもつながる可能性が示唆された。また、わからない用語調べの共有セッションについては、①調べた内容のチェックや②不安への対応、③やってこない学生への対処、④時間配分などについて検討を行い、現在のバージョンよりさらに改良されたセッションにしていく必要がある。安永(2006)は、「ことば調べが十分できているグループはミーティングがうまく展開する傾向にある」とこれまでの経験から述べている。用語調べの効果が教員だけでなく、学生にも実感できるようなセッションの構築が必要である。5.2学生の多様性に応える事前課題今回提案する事前課題共有セッションは、わからない用語調べを題材とした。学生によってはわからない用語調べは普段からしているので、スライド資料の「用語を()抜きにした方が意欲が湧く」学生や、「自分で事例の原因や症状を考えたことで、プリントや教科書を元に考える事が出来た」という学生もいる。事前学習は、多様な学生の学習方法に対応できるものが理想である。自分に合わない場合は、やらされ感が強くなるからである。学生は高校まで親しんできた、問題を解く学習方法には効果を実感し易い傾向がある。筆者は2013年度の春学期にミニテストを用いて授業前と後に実施した。その結果、授業前に資料やテキストを読んで解答してくる学生もいたが、多くの学生は授業前の点数が低く、授業後の点数が高かった。事前学習が授業前の点数には結びつかないことが示唆された。特に授業前後の得点差が大きかったのは「くも膜下出血の病態と看護」のミニテストであった。また、ミニテストのみの事前学習は、解答を重視して解説を軽視する傾向がある。このような傾向に陥るのを防ぐために、協同グループで「解説書作り」のグループ=インベスティゲイションの技法11)を使うことも一案である。グループ=インベスティゲイションとは、テーマに関心がある小グループによる、グループ課題を深く掘り下げるための研究プロジェクトを立ち上げ、グループで計画を立て、実施し、成果を報告するという協同学習の一つの技法である。この技法の特徴は、学生が興味と関心に応じてグループに配置されるのでテーマに専心しやすく、自ずと動機づけが高まる。また、特定の分野の知識を自らの探究活動によって習得するので、達成感が高い。例えば、本科目の受講生に、グループ=インベスティゲイションを採用した場合、学生は多くの問題の中から、自分が関心ある問題の解説書を作るグループに入り、研究プロジェクトを遂行する。その結果、この探究活動を通して解説書を作成するために必要な専門的知識を習得できることになる。5.3まとめと今後の課題以上より、事前学習のわからない用語調べを授業の初めにグループで共有する事前学習セッションを行った結果、学生は授業理解に比較的肯定的な反応を示した。一方で、今後検討すべき課題も明らかになった。上記「結果」と「考察」で述べた①~④である。今後も、―78―牧野典子・江尻晴美・中山奈津紀

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