中部大学教育研究14
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今後の学生生活における積極的な態度につながる内的な状態の上昇が見られた。また、前年度のような開講クラスの効果がほとんど見られなかったことから、「自己開拓」開講4年目を迎えて、全クラスにおいて教員同士の共通認識が確立し、同等の教育が提供できるようになったことが示唆される。4まとめ本報告では、キャリア教育科目のひとつである自己開拓の授業効果を2010年度、2011年度、2012年度に引き続いて検証する試みを行った。結果から、これまでと一貫して、全体としては自己開拓を受講することで、心理的に望ましい変容が授業を通じてもたらされていることが示された。毎年受講する学生が異なっているにもかかわらず同様の教育効果が見られたという点は、「自己開拓」のカリキュラム内容が安定した効果を示していることを示唆していると言うことができる。しかしながら、自尊感情が高い学生が「自己開拓」を受講していたというように、これまで見られなかった「自己開拓」受講者の特徴も明らかにされた。今後、「自己開拓」がキャリア教育科目としてより浸透していく中で、このような受講者の変化も考慮しつつ、これまでの望ましい心理的変容を維持することが求められるだろう。また、2014年度は2013年度と異なり、講義は全て専任講師によって開講される。さらに、内容の改変も行われる可能性もあることから、これらの効果が学生の心理的変容にどのような影響を及ぼすのか、今後も引き続き検討していく必要があるだろう。文献ハラデレック裕子・林芳孝・間宮基文・小塩真司(2011).新たなキャリア教育科目の効果-「自己開拓」の概要と学生の成長-中部大学教育研究,11,43-47.小塩真司・阿部晋吾・カトローニピノ(2012).日本語版TenItemPersonalityInventory(TIPI-J)作成の試みパーソナリティ研究,21,40-52.小塩真司・ハラデレック裕子・林芳孝・間宮基文(2011).新たなキャリア教育科目の効果-「自己開拓」による学生の心理的変化-中部大学教育研究,11,49-54.小塩真司・ハラデレック裕子・林芳孝・間宮基文・後藤俊夫(2012).キャリア教育科目「自己開拓」の効果-2011年度の授業について-中部大学教育研究,12,105-110.桜井茂男(2000).ローゼンバーグ自尊感情尺度日本語版の検討筑波大学心理学研究,12,65-71.佐藤友美・小塩真司・ハラデレック裕子・林芳孝・間宮基文(2013).キャリア教育科目「自己開拓」の効果―2012年度の授業について―中部大学教育研究,13,43-49.白井利明(1991).青年期から中年期における時間的展望と時間的信念の関連心理学研究,62,260-263.杉若弘子(1995).日常的なセルフ・コントロールの個人差評価に関する研究心理学研究,66,169-175.浦上昌則(1995).学生の進路選択に対する自己効力に関する研究名古屋大學教育學部紀要.教育心理学科,42,115-126.講師人文学部心理学科佐藤友美准教授早稲田大学文学学術院小塩真司クリスタルクリエイト㈱ハラデレック裕子クリスタルクリエイト㈱林芳孝クリスタルクリエイト㈱間宮基文―73―キャリア教育科目「自己開拓」の効果

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