中部大学教育研究14
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5.005.205.405.605.806.006.206.406.6017.0017.5018.0018.5019.0019.5020.0020.5021.008.508.608.708.808.909.009.109.209.309.409.50ないと言える。また、受講群における調査時期の効果が有意であり(F(1,698)=12.63,p<.01)、授業前よりも授業後の方が、調整型セルフ・コントロールが高かった。しかし統制群の調査時期の効果は有意ではなかった(F(1,498)=0.13,n.s.)、授業前と授業後で、調整型セルフ・コントロールに変化はなかった。したがって、「自己開拓」を受講した学生の調整型セルフ・コントロールは上昇する一方で、受講していない学生の調整型セルフ・コントロールは変化しないことが示された。なお、2010年度の授業では交互作用は認められず、調査時期の主効果も有意傾向のみ認められていた(小塩他,2011)。その一方で、2011年度では交互作用が有意であり、「自己開拓」受講者の調整型セルフ・コントロール得点の上昇が認められた(小塩他,2012)。さらに2013年度では、受講者の得点上昇がみられ受講していない学生の得点下降がみられた。これらの先行研究と今回の結果とを総合すると、調整型セルフ・コントロールについては、「自己開拓」受講者においては授業前後で一貫して上昇傾向にある一方で、統制群の得点が一貫していないことが示されていると言えるだろう。したがって、「自己開拓」の授業前後で、調整型セルフ・コントロールの上昇は明確ではないものの一貫して上昇傾向にあることが示唆される。図6調整型セルフ・コントロールの平均値3.1.5パーソナリティの変化ビッグファイブの5つの得点それぞれについて2要因混合計画の分散分析をおこなったところ、協調性において有意な群の主効果も交互作用も見られなかった。神経症傾向については群の主効果のみ有意であった(F(1,718)=6.28,p<.05)。図7に示すように、「自己開拓」受講者は統制群の学生に比べ、神経症傾向が高かった。また、外向性については授業前後で有意な差があり(F(1,719)=5.42,p<.05)、授業後は授業前に比べて外向性が高かった。図7神経症傾向の平均値開放性については、主効果、交互作用ともに有意ではなかった。勤勉性については図8に示すように、授業前後の主効果が有意であり(F(1,719)=8.08,p<.01)、授業後は授業前に比べて勤勉性が高くなった。さらに群の主効果は有意傾向であり(F(1,719)=2.92,p<.10)、「自己開拓」の受講生は統制群に比べて勤勉性が全体的に低い傾向が示された。図8勤勉性の平均値3.2毎週の意識の変化自己開拓の8週の授業それぞれにおいて測定された8項目の平均値を図9に示す。なお、このグラフにおける第1回から第8回までの回答者は次のとおりであった:第1回167名、第2回155名、第3回145名、第4回149名、第5回151名、第6回142名、第7回114名、第8回145名。8つの項目得点それぞれについて、授業の開講時期(前半・後半;被験者間)×クラス(3クラス;被験者間)×授業週(第1回から第8回;被験者内)の3要因混合計画の分散分析を行った。以下に各項目の分析―71―キャリア教育科目「自己開拓」の効果

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