中部大学教育研究14
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図3これから関心をもっていることまたは学びたいこと4考察およびカリキュラム検討4.1CAAC対象者についてCAACの対象年齢50歳以上は、参加者のうち96名であり、研究目的である対象者が8割を占めていた。大学が主催した講演会および市民フォーラムに参加した方々であることから、対象者は、世代間交流や地域の活性化などに対して関心が高いと考えられる。さらに、これまで、世代間交流、または高蔵寺ニュータウンにおいて住民との交流、NPO団体との関わりなど本大学の地域活動の成果が反映され、対象者の意識はより高くなっているのではないかと思われる。また、対象者は、現在、社会参加(ボランティア・地域活動等)をしていたり、クラブやサークルなどに所属し趣味活動している方は60%とすでに社会参加活動をしている。高齢社会白書の対象は60歳以上で報告され、本研究と比較することは難しいが、本研究の対象者は、意識が高いばかりでなく、すでに積極的な社会参加活動をしている。よって、対象者の活動経験や資格の取得内容を活かすことができるようなカリキュラム内容がのぞまれる。梨本は、「高齢者が社会や特定の他者との関わりを豊にしていく活動」を「社会活動」とし、「そのような活動に新たに参加したり、活動をとおして社会や他者との関わりを豊かにしていく過程」を「社会参加」として、社会活動と社会参加を区別している。そして、学習することは、学習としての社会参加活動だととらえ、その学習の成果を地域活動に活かす場合、学習そのものを目的とする場合、あるいは、学習に付随する人間交流を求めている場合の3タイプに分けることもできると述べている4)。本研究の対象者は、8割の高齢者が本学学生と学びたいと回答していることは、若い世代との交流を求めていると考えられる。よって学習を通して高齢者同士のつながりが増すことはもちろんだが、大学生との交流と広い人間交流を求めていることがうかがわれ、質の高い社会参加活動に発展するのではないかと思われる。今回の対象者は、本大学が地域活動している対象地域であり、地域の活性化などには高い関心をもっている集団であり、春日井市全体の50歳以上の住民の関心度や学習意欲の程度などを把握することにはいたらなかった。講演会などには、50歳未満、市外や県外からの参加もあり、今後CAACに関心をもってもらうように地域活動の評価をしながらカリキュラムを検討することが必要である。4.2カリキュラムについて高齢社会白書によると、60歳以上の高齢者の望む生涯学習は、「健康スポーツ」「趣味的なもの」「ボランティア活動のために必要な知識・技術の内容」であったが、本研究結果は「健康」「学習」「社会参加」でありほぼ同様な結果となった。また「地域防災」があげられていることは、時代や地域を反映したものであると思われる。このようなことから、1年コースは共通科目として「健康」「学習」「地域防災」などをふまえて、「健康増進」「IT」「言語」「地域」「健康増進実習(運動)」といった科目のカリキュラムを作成した。さらに、対象者がいままでの活動経験をふまえて、学習を積み重ねていくことができるように、2年目の専門コースでは、社会参加活動の目的が達成されるように「健康心理学」「東洋医学」「運動と健康学」「現代社会と福祉」など科目のカリキュラムを作成した。50歳以上と50歳未満で有意な差があったものは、「子育て支援方法」であった。若い世代が「子育て支援方法」に関心をもっていることを理解し、高齢者に向けた学習でだけでなく幅広く活動するためには若い世代の関心事に対しても学習することができるようにカリキュラム内容の検討がのぞまれる。4.3正課教育~共育事業平成26年2月24日、立教セカンドステージ大学の担当者から高齢者や学生の共育事業についてお話を伺ったところ、ゼミ学習として学生との交流の場を設けており、その場では高齢者の学ぶ姿勢が学生に影響を与えているとのことであった。しかし、学生がセカンドステージ大学の存在を知っているのは10%に満たないとのことであった。本学の場合は、「高齢者自身がリーダとなるように育成する」「学生が地域に貢献できるように育成する」という両者の目標を達成する教育の場を設けている。カリキュラムは、春日井市という具体的な地域の場を教材に、そして、その地域に住んでいる高齢者と学生が学習の場を共有することによって、学生が地域をイメージできるのではないかと思われる。平成26年9月から下記のようなカリキュラムで行わ―65―共育事業による地域に貢献できる人材づくり472641343823122216074789164410/5050

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