中部大学教育研究14
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11名、「救急救命」「予防」はそれぞれ5名であった。(表2)4.2レポート内容からレポートの中で、学生が取り上げた実習内容を上位3つまで抽出した。図1は、その件数を表したものである。なお、ここでは、実習内容を分けているために「応急手当」とは、捻挫・骨折・出血に対する手当を示し、「傷の手当」とは、創傷に対しての手当を示し、集計を別々にした。「心肺蘇生/AED」26名が最も多く、続いて「バイタルサイン」20名、「テーピング」13名であった。図1学生がどのような実習内容に着目したか4.3実習内容の記述からのまとめ集計の多いものから実習内容がどのように記述されているか、学生の記録から一部を引用した。1)「心肺蘇生/AED」について・スポーツ現場では、また運動指導を行うにあってはケガをさせないことが大前提であるが、しかし、あってはならないが、事故、怪我が起きることがある。そのために、応急手当、傷の手当、心肺蘇生の方法を知っておくことが必要である。・その場で焦ることがなく冷静に対処することが重要である。・指導者が救急対応できれば、指導される側が安心できる。・いつもケガや事故がおこるかもしれないというシミュレーションしておくことが必要である。・対象者が絶対に事故にあってはいけないという信念が必要である。・スポーツの障害は、救急車を呼ばないといけない場合がある。・今までは、指導者の指示に従っていればよい立場であったがこれからは指示を出すことが求められている。2)「バイタルサイン」について・対象者が安全に運動を行うためには、客観的な指標が必要であり、バイタルサインの観察が必要である。・バイタルサインは健康度を把握することになる。運動中の異常を早期発見するために運動前と後で変化を測定する。また、運動の効果を評価することができる。・指導者が対象者にバイタルサインを測定することを説明することが大切である。・運動をする対象者(若者と高齢者、スポーツ選手と障害者、男性と女性など)の認識をもち、それぞれの体調、バイタルサインなどが違うことを把握しておくことが望ましい。3)「テーピング」について・この実習から学びえた知識や技術を現在自分の行っているスポーツの現場でいかすことができる。普段の時でも役に立つ技術である。・対象者にテーピングの巻き方を教えることも必要である。・テーピングの実習では、足関節内反捻挫におけるテーピング、膝関節、外反制限における方法を学んだ。しわがないようにきれいに巻く、安心感があるように巻けなければならない。・正しい手段でテーピングを行うことは指導者にとって必要条件である。テーピングする上でどんな知識がいるか、足部の骨や足関節の名称を覚えないといけない。5考察5.1学習達成目標の学びについて1)代表的なスポーツに伴う外傷(肩関節脱臼、急性腰痛、下肢の肉離れ、膝関節の靱帯損傷、足関節捻挫、骨折など)の病態を理解し、それらの外傷に対するスポーツなどの現場での応急処置対応の判断ができる。「テーピング」「傷の手当」「応急手当」の実習内容を例にあげて、「この実習から学びえた知識や技術を現在自分の行っているスポーツの現場でいかすことができる」「靭帯損傷を経験したので、テーピングをして怪我を防ぐようにしている」などと述べている。学生は、今までに何らかのスポーツを経験し、現在もスポーツ系の部活やサークルに所属しているために具体的な技術として役にたつ実習であったと考えられる。学生は、普段からテーピングを実践していることがわかったが、病態についてどのように観察し、判断して、対応したのかということの記述は今回の実習記録からはみられなかった。今後は、その過程を示すことができるように授業内容の組み立てを考えていきたい。―59―安全に運動指導ができる指導者育成をめざして261111136112643202051015202530/AED

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