中部大学教育研究14
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1はじめに2011年(平成23年)、スポーツ保健医療学科は、生命健康科学部の6番目の学科として設置された。本学科は、一次予防を重視する運動ができる専門家を育成することをめざし、救急救命士、健康運動実践指導者、トレーニング指導者、エアロビック指導員/教師、水泳指導員/教師の受験資格が得られ、障害者スポーツ指導員(初級)およびレクリエーションインストラクターについては資格が取得できるようになっている。さて、3年次春学期に開講されている「運動器障害予防・処置法実習(TrainingforPreventionandCareforMotor-OrganInjury)は、保健医療に関わる救急医学の科目群に位置づけられ、当学科の必修科目であり、全資格に必要な科目でもある。また、1年次、2年次において「医学・医療」「健康スポーツ」「救急救命」などの基礎専門知識を習得し、3年次にそれらを統合して実習をするという教育課程となっている。この授業の目的は、運動器障害への対応としての予防策および運動によって生じるさまざまな疾患に対する応急処置についての技術を習得することである。運動によって生じる外科・整形外科疾患に対する応急処置について実技を行い、技術の習得を目指す。具体的内容は、捻挫・裂傷などの外傷に対する応急処置の技術指導を行う。また、運動器に関する障害予防のためのストレッチングなどのコンディショニング法に関する実践も指導する。また、ウオーミングアップやクーリングダウンの目的、リスク管理などを理解し、具体的方法としてのストレッチング、筋力エクササイズ、バランスエクササイズなど実技を行うこととしている1)。そこで、この科目の実習内容から将来指導者となり得る学生が運動指導者としてどのように学ぶことができたのか、当学科のⅠ期生(2013年度履修)のレポートから実習内容と学習効果について検討を行ったので報告する。また、この研究結果から授業を見直し、さらに充実させたいと考えている。2授業について2.1授業内容15回の授業内容は、表1にしめす。表1授業日程2.2担当教員当学科および理学療法学科に所属する救急救命士、保健師、看護師、理学療法士、アスレティック・トレーナー、健康運動指導士の資格を有する複数の教員が担当し、講義および実技指導を行った。なお、12回~15回については、春日井市消防職員の方々にご協力をいただいた。2.3授業のすすめ方本科目は独自に作成した実習書および応急手当講習テキストを用いた。実習書には、毎回の授業目標、実習準備内容、手順などが記載されている。学生は事前に予習を行い、実習目標を記入し実習にのぞむ。毎回終了後には実習記録の記載とともに各教員から出された課題を行う。15回の実習終了後に「安全に運動指導を行なうための指導者の役割について」―57―中部大学教育研究№14(2014)57-61安全に運動指導ができる指導者育成をめざして-2013年度「運動器障害予防・処置法実習」学生記録から-藤丸郁代・飯尾洋子・西垣景太・山田恵子・西村貴士浦井久子・宮下浩二・矢澤浩成・伊藤守弘

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