中部大学教育研究14
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3.3導入(ブリーフィング)導入では、2日間の学内実習で取り入れるシミュレーション教育の基本的な考え方として、1)学習者中心の学習であること、教員は脇役であること、2)小児病室ラボや小児患者シミュレータSimJuniorという環境において「見立ての世界で本気でやる」ことが大切であること、3)これまでの講義で学んだ知識をフル活用すること、4)失敗を恐れず、経験の中から必要な知識や技術を見出していくこと、5)グループメンバーとのコミュニケーションを積極的にとることを示した。さらに、デブリーフィングをスムーズに行うために、1)シミュレーションで出来ていなかったところを指摘するのではなく、出来ていた点(よかった点)を見つけること、2)相手の意見を否定しないこと、3)我を通すのではなく、筋を通して意見を伝えることについて強調した。次に、シミュレーション教育に参加する学生が見立ての世界に本気で入り込むことができるよう、導入での環境や物品の説明を十分に行った。特に、使用する小児患者シミュレータSimJuniorについては、どこまでのことが出来て、どこまでのことが出来ないのかを示した。例えば、脈の触知や胸郭の動き(呼吸数測定)、心音・肺音の聴取、咳嗽などについて、すべての学生が確認できたかを把握したうえで、顔色やチアノーゼの有無など、小児患者シミュレータSimJuniorで表現できない部分は、実施中「~を観察しています」と発言することで、ファシリテーター(教員)が横で状態を説明することを示した。また、今後のグループワークを円滑に進めるにあたり、グループ間コミュニケーションを促すことを目的とした、グループにおける「NGワード」を考える簡単な課題に取り組むことをアイスブレーキングとして導入した。3.4シミュレーションの実施とデブリーフィングシミュレーションの実施を写真1に示す。小児病室ラボにはメインファシリテーター(教員)1名、サブファシリテーター(教員)1名、観察をするグループの学生4名が待機をしており、実施学生の2名の準備が整ったところでノックし「失礼します」と言って入室したところでシミュレーションが開始される。シミュレーション中、サブファシリテーターと観察をする学生は、目標ごとに区切られたワークシートに「よかった点」を静かに記入している。メインファシリテーターは実施学生の様子を集中して追い、学生の状況にあわせて測定値を提示したり、観察した状態を告げたり、会話が増えた時に咳をさせるなどのタイミングをはかっている。終了時は実施した学生への労をねぎらい、全員で拍手をして終え、次のステップ(デブリーフィング)に進む。ファシリテーターには、シミュレーション実施中の学生の集中度を、感情・思考・行為などから把握して、―47―小児看護学臨地実習におけるシミュレーション教育の導入表3学内実習のスケジュール3 1 15 60 30 80110 30 2 1 20 2 230 2 1030 2 10 130609022070903204042040

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