中部大学教育研究14
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約半数が、1種類だけを取り入れている結果であるが、2種類としている授業も3割ほどあることがわかる。このことから、AL授業を取り入れている教員は、複数形式で取り入れることに抵抗は少なく、授業の達成目標にあった効果的なAL授業形式を教員が考え実施していることがうかがえる。4AL授業における1週間の授業外学習時間次に、AL授業における授業外の学習時間についてAL授業を実施されている先生方にご協力いただき、AL授業を受けている学生に授業外学習時間のアンケート調査を実施した。5月の初めと授業が進んでいなく、またサンプル数(1年から3年時の933人)と少ないが参考までに整理した。サンプル授業数は、受講者数3人から136人の授業で表3のようであった。表3AL授業における授業外学習時間の調査図7.1にはAL授業に関する1週間の授業外学習時間を、また図7.2には、すべての授業に対する授業外学習時間の合計を示す。調査した時期が学期の初めであるため、該当AL授業に関して学外学習時間を持っていない学生が半分ほどいるが、2時間以上という学生もいた。概ね、該当AL授業に対しては30分以内というところである。しかし、学生にとっては、該当AL授業以外の科目もあり、全体としては30分から1時間程度であった。複数科目を履修していることを考慮してみると、AL授業の学外学習時間は少ないとは一概には言えない。現在、実施されているAL授業の形式によれば、「ピア・ティーチング」や「ディベート(討論)の利用(ディスカッション)」など、授業の予習・復習に充てる時間はあまりとられない形式と考えられるが、今後、先に示した「反転授業」などが実施されれば、さらに多くの学外学習時間が延びることが容易に予想される。5おわりに今回、全学を対象として専任の教員の皆様方に、AL授業についてアンケートをお願いする機会を賜り、副学長の後藤俊夫先生を始め、多くの方にご協力いただきました。皆様方に改めて心より御礼申し上げます。ここでとりまとめた内容は、私的で偏った分析になっているかもしれませんが、現状を知っていただくデータとして少しでもAL授業を取り組む、または取り組もうとされる先生方の参考になれば幸いです。日本高等教育開発協会の沖裕貴会長(立命館大学教授、中部大学客員教授)が9月のフォーラム閉会の挨拶で、「アメリカでは『主体的な学び』というキーワードは出てこない。さらに日本ではAL授業で学生の主体的な学びを引き出すという矛盾がある。このことをよく理解してAL授業をもう一度我々教員は考え直さなければいけない。」ということを言及されていました。AL授業と聞くとPBL授業、反転授業とスキルに目が行ってしまいがちですが、AL授業の最も重要な点であることを気づかされたお言葉でした。大学教育研究センター副センター長教授工学部都市建設工学科―28―杉井俊夫0152352410図7.21週間当たりの全授業外学修時間の合計図7.1AL授業に関する1週間当たりの授業外学修時間

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