中部大学教育研究14
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4倫理的配慮中部大学倫理審査会の承認を得て研究を実施した。(承認番号250012)研究対象者に対し下記内容をメール及び書面にて説明し、アンケートに回答することで同意が得られたものとして取り扱うこととした。①調査研究への参加は自由意思によるものである。②参加しない場合であっても、治療支援技術実習の成績評価には関係なく、その他不利益を受けることはない。③研究に参加した場合であっても、いつでも取りやめることができる。④研究の参加を取りやめることによって不利益を受ける事はない。⑤アンケートの回答から個人を特定することはできない。⑥研究の結果は公表を予定している。研究上知り得た情報は研究以外の目的に使用することはなく、研究に使用した情報は、研究が終了した際には、廃棄の手続きにて処分をおこなう。5結果および考察5.1本学のビデオ学習環境の現状学生のPC活用の準備本学の学生は、授業等の学習に用いる個人のノートPCを総合情報センターの指導の下、入学時に準備を行う。学生はそのPCを学内および自宅にてインターネットに接続し、学習に用いることができる。また、学生個人のPCだけでなく、図書館・学部の共有部・コンピュータ・サポートデスクなど学内の複数の場所にインターネット接続がされているPCが設置されており、潤沢なビデオ学習環境が整備されていると言える。大学の教育支援教務支援課が管理している学内ポータルサイトのライブラリでは、授業科目ごとに講義資料や課題の提示がされる。また、総合情報センター管理のe-learningでは、授業等登録項目ごとに講義資料や課題の提示以外に、テストの実施やビデオ教材の配信・視聴が可能である。本研究で用いた視聴覚教材はこのe-learningを活用して学生がビデオ学習できるようにしている。視聴覚教材作成基礎看護技術において科目担当および単元担当教員の協力のもと学内実習の手順を検討し、単元担当教員を中心に視聴覚教材を作成していたが、2011年から視聴覚教材の撮影では、メディア教育センターに所属する技術職員の協力により、十分な動画品質のビデオを作成している。しかし、先行研究でも問題としてあげられている照明や音声、アングルなどに問題を感じていた。5.2注射法・採血法ビデオの視聴方法表1に2013年度「治療支援技術実習」注射法・採血法ビデオの視聴方法に関するアンケート結果を示す。これによると、ビデオの視聴方法としては自宅でPCが8名(80%)と最も多く、学内でPCの1名(10%)とタブレットの1名(10%)と比べると、学生はビデオ学習を自宅で行うことが多いことが窺えた。また、学生の自宅にインターネット環境が整っていることも窺えた。視聴方法に関して、自由記述欄に「ビデオをスマートフォンでも見られるようにして欲しい」との要望があった。学生はよりユビキタスなビデオ学習を望んでいることが推測されるが、e-learningへの動画形式が決められている都合上、視聴できるアプリが必要となる。今後その環境を整えていき、スマートフォンでの視聴を可能にしていくことで、学生のビデオ学習の機会を向上することができると思われる。しかし、細かな手技を学ぶことが必要な看護技術のビデオ学習には、ある程度の画面サイズは必要であると思われるため、小さな画面のスマートフォンでのビデオ学習に対応する方法を検討する必要がある。5.3ビデオ視聴回数と学内実習に対する効果表1に注射法・採血法の学内実習前後(講義日~学内実習後1週間)のビデオ視聴回数と、学生が感じたビデオ学習の学内実習に対する効果を示す。学内実習前は、注射・採血共に3回以上視聴していた。採血は5回以上視聴した学生が4名(40%)と多く、学内実習で学生同士での採血を実施することや、1本が15分と見やすい長さであったことも影響があると考えた。学内実習後1週間以内は「見ていない」学生が注射5名(50%)採血4名(40%)と多く、注射は1週間後に採血の学内実習が控えていたことが影響しているのではないかと推測された。学内実習への役立ちは、注射:「とても役に立った」4名(40%)、「役に立った」5名(50%)「まあまあ役に立った」1名(10%)であった。採血:「とても役に立った」3名(30%)、「役に立った」7名(70%)であった。自由記述欄の回答では、「もう少し近くから撮って欲しい」や「どうやって針を刺入しているか見づらかった」など撮影時のズームやアングルに要望が示されていた。これは5.1に記した問題と同様であり、視聴覚教材を作成する際に必ず課題となるものである。今―22―上田ゆみ子・宮内義明・堀文子

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