中部大学教育研究14
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0.00%10.00%20.00%30.00%40.00%50.00%60.00%70.00%80.00%90.00%100.00%検証されるのであれば、本授業をより多くの学生が受講できるよう課程内に拡充することで、本学全体の就職率向上につなげることが可能となる。一方、教育効果が明確に示されない場合であっても、教育効果がどの側面でみられないのかが明らかになるため、本研究結果をもとに授業内容を適切に改善していくことができるだろう。このように本研究は、本学におけるキャリア教育の今後の方向性を定める上でも非常に意義があるといえよう。2方法2.1調査対象者調査対象者は、平成22年度入学生で「自己開拓」を1年次に受講し平成26年3月に卒業を迎えた学生129名(所属学部:工学部・経営情報学部・国際関係学部・人文学部・応用生物学部・現代教育学部)と、同時期に卒業を迎えた学生で卒業までに「自己開拓」を受講しなかった学生から無作為抽出された138名(所属学部:経営情報学部・人文学部・応用生物学部)であった。学部事務室経由で質問紙が配布され、後日回収された。そのうち回答に不備のみられなかった「自己開拓」を受講した学生103名(「自己開拓」受講群;有効回答率79.84%)と卒業までに「自己開拓」を受講しなかった学生95名(統制群;有効回答率68.84%)の計198名(「自己開拓」受講群:男性75名、女性28名;統制群:男性79名、女性16名)を対象とした。平均年齢は21.97歳(SD=.80)であった。2.2調査内容就職ガイダンスへの参加状況キャリア支援課(キャリアセンター)主催の計11回の就職ガイダンスへの参加の有無についての情報を得た。なお、この就職ガイダンスは調査対象者が3年次に行われたガイダンスで、オリエンテーション、適職診断テスト、SPI対策模擬テスト、適職診断テストをもとにした自己理解ワークショップ、適職診断テストをもとにした業界研究、履歴書ガイダンス、履歴書添削、面接ガイダンス、面接対策、業界研究、学内企業説明会ガイダンスという構成であった。大学卒業時点の進路状況大学卒業後の進路先(2014年4月15日付)について、大学卒業時点の進路状況(就職、就職活動中、進学、留年)の情報を得た。また、就職者については、就職先の企業規模に関する情報(資本金、従業員数)も収集した。2.3調査時期・調査手続き2013年12月から2014年1月にかけて、上記の調査内容の提供について調査対象者に了承を得た。了承が得られた調査対象者について、就職ガイダンスの参加状況、および、大学卒業時点の進路状況について、キャリア支援課(キャリアセンター)から情報を得た。なお、本研究は個人情報の保護に十分に留意すべく、中部大学倫理審査委員会から情報提供に関する承認を得た(承認番号:250039)。3結果3.1「自己開拓」受講と就職ガイダンス参加はじめに、「自己開拓」受講群と統制群の就職ガイダンスの参加率の平均値と標準偏差を算出した(図1)。その上で、「自己開拓」受講の有無による就職ガイダンスの参加状況を検討すべく、一要因分散分析を行った。分析の結果、「自己開拓」受講群と統制群の就職ガイダンス参加率に有意な差がみられ(F(1,196)=20.64,p<.001)、「自己開拓」受講群は統制群よりも就職ガイダンスへの参加率が高かった。(注)エラーバーは標準偏差図1「自己開拓」受講群と統制群の就職ガイダンス参加率の平均値3.2「自己開拓」受講と進路決定次に、「自己開拓」受講群と統制群の卒業時点の進路状況を集計した(表1)。「自己開拓」受講の有無による卒業時点の進路状況の人数の偏りを検討すべく、卒業後に就職および進学のように進路が決定した群を進路決定群、卒業後就職活動を継続している者や卒業できず留年した者を進路未決定群として人数を算出し、χ2検定を行った。分析の結果、「自己開拓」受講の有無別の進路決定状況に有意な人数の偏りの傾向がみられ(χ2(1)=2.88,p<.10)、「自己開拓」を受講した者ほど進路決定者の比率が高い傾向にあり、「自己開拓」を受講していない者ほど進路未決定者の比率が高い傾向にあった。さらに、「自己開拓」の受講による就職先の違いを検討するため、企業規模に注目した検討を行った。卒―16―杉本英晴・佐藤友美・寺澤朝子

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