中部大学教育研究14
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間関係の重要性がみられた。対人スキルをいかに教育の中に取り入れていくかが今後の課題ともいえる。また、臨床と学校教育の差を感じているが、実際に患者との関わりができない学校教育の限界も語っていることなどから、学校教育との違いを認識していることも把握できた。この研究結果をもとに、学校教育における円滑な職場適応への対策について検討を深めていきたい。8おわりに今回は質的研究手法を用い、臨床工学技士の育成について検討した。臨床工学技士教育における研究はまだ始まったばかりであり、現状の理解を含め研究課題を導き出す段階の研究を行い、職場適応に必要な要素として、コミュニケーション能力などの社会性が重要であることが認められた。さらに各事例のまとめを一覧表にすることで、一致点や相違点を明確に比較することが出来た。今回の10例においては、職場環境が良好であり、職場内で指導を受けながら業務に取り組めていることや、学校での教育内容と臨床現場とのギャップがあることの共通性を認めた。今回行った研究では、臨床現場で求められている具体的な教育をして欲しいという要望についての質問や、被験者がさらに経験を積んだ時点での調査の実施、また、透析・心肺など部門別に分析することについては、検討していない。本研究の手法は、アンケート調査と同様に、教育改善の一つの方法として有用であると考える。参考文献1)米澤久幸他,“臨床適応力を高めるカリキュラムと臨床実習のあり方研究”,中部大学生命健康科学研究所紀要,Vol.6,2010年3月2)戈木クレイグヒル滋子,“グラウンデッド・セオリー・アプローチ”,p27-41,新曜社,2006年―14―福田信吾・武田明・米澤久幸・宮本靖義・矢澤浩成・藤部百代講師生命健康科学部臨床工学科福田信吾講師生命健康科学部臨床工学科武田明教授生命健康科学部理学療法学科米澤久幸講師医療技術実習センター宮本靖義講師医療技術実習センター矢澤浩成作業療法士長国立病院機構東尾張病院藤部百代表2図式化した一覧表

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