中部大学教育研究14
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を基準として、高得点群(16名)と低得点群(12名)の2群に分けた。それぞれの群における学内実習前後での平均得点を比較した結果を表3に示す。高得点群の16名では、自己効力感尺度の総得点の平均値は、学内実習前86.44±2.58から学内実習後81.75±7.07と低下を示したが、有意差はみられなかった。各因子と総評においても、すべて学内実習後で平均得点の低下がみられたが、有意差を示したのは、「因子C.対象の理解と援助」のみであり、27.25±1.77から25.06±3.04に低下した(p<0.01)。低得点群の12名では、自己効力感尺度の総得点の平均値は、学内実習前52.08±5.93から学内実習後72.00±8.99と有意に上昇した(p<0.01)。各因子と総評においても、すべて学内実習後で平均得点の上昇がみられ、「因子A.基礎知識の理解」は5.08±1.58から8.17±1.12、「因子B.コミュニケーション技術」は3.67±1.16から6.00±0.43、「因子C.対象の理解と援助」は12.58±3.15から20.42±3.42、「因子F.学習者-教員間の関係性の構築」は10.83±1.47から13.75±2.30と、4因子については有意に学内実習後の平均得点が上昇した(p<0.01)。学内実習前の自己効力感尺度の総得点、各因子および総評を低得点群、高得点群で比較した結果を表4に示す。総得点と各因子総評のすべてにおいて高得点群が有意に平均得点が高かった(p<0.01)。一方、学内実習前後での平均得点においては、高得点群は学内実習後に低下し、低得点群は学内実習後に上昇したものの、学内実習後の2群間での平均得点の比較においては、高得点群の方が平均得点が高く(つまり、自己効力感が高く)、総得点と「因子C.対象の理解と援助」および「総評」の項目においては、有意差がみられた(p<0.01)。5.3シミュレーション教育に関する自由記述シミュレーション教育に関する自由記述については79名から回収が得られた(回収率83%)。このうち、本稿では高得点群の16名のうち、総合得点が学内実習後に自己効力感の低下を示した11名の自由記述内容をまとめた(表5)。役に立ったこととしては、9名が「子どもとのコミュニケーション」、4名が「バイタルサインズの測定順序・方法」、3名が「安全対策」「グループダイナミクス」、2名が「観察項目の抽出」、1名が「子どもの状態のアセスメント」「子どもの気持ちの理解」と答えていた。一方で、役に立たなかったこととして、3名が「バイタルサイン測定に非協力的な場合の対応」、2名が「動く子どもへの対応」と答えていた。―5―学生を主体とした小児看護学臨地実習前のシミュレーション教育効果の検討表2自己効力感尺度得点の学内実習前後での変化(N=86)*p0.01NS:

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