中部大学教育研究14
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た。分析ソフトはIBMSPSSStatistics21を用いた。3)シミュレーション教育に関する自由記述臨地実習終了後に、①シミュレーションで役に立ったことは何か、②役に立たなかったことは何か、③よりよい学習経験とするために、どのように変更していったらよいと思うか、に関して自由記載を求めた。自由記述の内容は、質的帰納的に分析・類型化した。3.5データ収集方法実習グループ単位での実習直前オリエンテーション時に、学生へのリクルート、3回分の調査表の配布を行った。調査表への記入時期は、1回目は実習直前オリエンテーション時、2回目は学内実習終了時(2日目)、3回目は小児看護学臨地実習終了の翌月曜日の記録提出時にそれぞれ記入し、設置の回収ボックスへの投函を依頼した(教員による回収は行わない)。4倫理面への配慮本研究は中部大学倫理審査委員会の承認を得て行った(承認番号250030)。対象への倫理的配慮として1)研究の趣旨、2)参加は自由意思であり不参加においても実習や成績に何ら影響のないこと、3)参加者より得られたデータによっても実習や成績に何ら影響のないこと、4)調査は無記名での回答であり参加の有無が実習担当教員に伝わることがないこと、5)調査表は密封した状態で強制的にならないように回収し、自由記述の内容は外部機関にてデジタル化した後に分析することで、筆跡による個人特定をしないこと、6)得られたデータの管理方法、7)調査結果は学術集会等で発表することについて文書と口頭にて説明した。研究への同意は、調査表の回収ならびに、参加・不参加に関する確認項目を調査表内に設けることで最終的に確認した。5結果期間内に小児看護学臨地実習を履修した96名に依頼し、同意を得られた95名(回収率99%)のうち、すべての項目に回答しているもの86名(有効回答率91%)を分析対象とした。5.1学内実習目標達成の自己評価学内実習目標達成の自己評価を表1に示す。18項目のうち、「4.できた」「3.ややできた」の項目を選択し、その割合が90%を超えた項目は11項目であった。内訳は、「問2.喘息発作や入院による身体的、精神的苦痛を述べることができる(95.3%)」「問3.4歳児の一般的な認知発達の特徴から、患児のコミュニケーション能力と理解力を述べることができる(95.3%)」「問4.基本的な幼児のバイタルサイン測定方法を述べることができる(100%)」「問5.小児病棟で起こりやすい事故の特徴を述べることができる(91.8%)」「問7.必要な安全・安楽への配慮を述べることができる(94.2%)」「問9.患児の成長発達に合わせた測定用具の選択・準備することができる(94.2%)」「問10.患児の認知発達・病態に合わせた声掛けをし、フィジカルアセスメント時に協力を得ることができる(95.4%)」「問11.患児の様子を観察し、バイタルサイン測定が可能かどうかを判断することができる(91.9%)」「問12.バイタルサインズ(BT,HR,RR,BP,SpO2)を測定することができる(97.7%)」「問13.病態に関連した症状を観察することができる(96.5%)」「問15.患児の病態、成長発達の特徴、入院環境を統合して、安全面への配慮ができる(95.3%)」であった。「4.できた」「3.ややできた」と回答した割合が90%未満で、「2.あまりできなかった」の項目を選択し、その割合が10%を超えた項目は7項目であり、内訳は「問1.喘息の病態生理、治療(作用と副作用)を述べることができる(10.5%)」「問6.必要な観察項目と観察項目の優先順位を述べることができる(14.0%)」「問8.必要な観察項目の測定方法、順序を述べることができる(10.5%)」「問14.治療が指示どおり、安全に行われているか、確認することができる。(10.5%)」「問16.患児の病態、成長発達の特徴、入院環境を統合して、安楽面の配慮ができる(12.8%)」「問17.入院時のデータと観察したデータから、患児の現在の状態をアセスメントすることができる(11.6%)」「問18.観察したデータをアセスメントを踏まえて説明することができる(20.9%)」であった。「1.できなかった」と回答した者は0名であった。5.2学内実習前後の自己効力感1)学内実習前後での自己効力感尺度の平均値の比較分析86名の学内実習前後での自己効力感尺度の平均得点を表2に示す。自己効力感尺度の総得点の平均値は学内実習前70.72±11.39、学内実習後78.88±8.69であり、有意に学内実習後の方が高かった(p<0.01)。また、7つの因子および総評ごとの平均値においても、学内実習後の得点が有意に高かった(p<0.01)。2)低得点群と高得点群における学内実習前後の自己効力感尺度の平均値の比較分析学内実習前の自己効力感尺度の総得点より標準偏差―3―学生を主体とした小児看護学臨地実習前のシミュレーション教育効果の検討

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