中部大学教育研究14
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6研究者倫理バージニア大学に席を置き、研究を行うためには、大学が提供する研究者倫理に関するオンライン講座を受講し合格する必要があった。少し手間ではあったが、おかげで、どのような経緯で、またどのような思想で研究者倫理が重要視されるに至ったのかについて詳しく学ぶことができ、振り返ってみれば大変有意義な体験であった。合格後、筆者自身の研究を2件、共同研究を2件、大学の倫理審査会(InstitutionalReviewBoard)に申請し、無事研究実施の許可をもらうことができた。7生活点描バージニア滞在中は、研究以外でも貴重な体験をすることができた。そのいくつかを紹介したい。7.1リサイクルと節電入居したアパートはリサイクルとは無縁の世界であった。ゴミの分別は不要。燃えるものも、そうでないものも、ビンも缶も全て同じ場所に、しかも曜日の制限なく、いつでも捨てることができた。家具のような粗大ゴミでさえ一般のゴミと同じように捨てることができた。また研究所は節電とは無縁の世界であった。夏は肌寒いほど、冬は汗ばむほど空調が効いていた。しかも、ワーカホリックな筆者以外誰も建物に立ち入らない土曜日と日曜日でさえ、同じように冷暖房がなされていた。写真14何でもOKのゴミ捨て場リサイクルと節電に気を使う必要がない、というのは想像以上に心に平安と自由を与えてくれた。リサイクルと節電に縛られる毎日に戻った今、そのことを痛切に感じている。両者が本当に必要なものであるならやむを得ないが、もし本学の武田邦彦教授が訴えるように、必ずしもそうとは言い切れないものなら、リサイクルと節電に費やすエネルギーを他に向けた方がずっと伸び伸びと生活でき、世の中が明るくなるようなるのではないかと感じている。7.2運動設備大学には大変充実した運動設備があり、300ドルほどの年会費を払う事で、ジムやプール、テニスコートなど9カ所にある施設を自由に使うことができた。筆者も会員になり、週に一度、ジムでサンドバッグを叩き、日頃の運動不足の解消を図った。「ジム仲間」には女性もいて、彼女たちのサンドバッグを揺らす力強いパンチには驚かされた。写真15ジムでの練習7.3ストリート・ミュージシャン市の中心街では、週末になると、ミュージシャンや大道芸人がパフォーマンスを披露している。筆者も一度だけ、ダウンタウンでギターの引き語りを行った。写真16ダウンタウンでの演奏限りある英語の持ち歌では間に合わず、日本語の歌も交えてのパフォーマンスであったが、1時間ほどの演奏で2ドルほどの「臨時収入」を得ることができた。大学からは、研究以外で収入を得てはいけないと言わ―91―バージニア大学での一年間を振り返って

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