中部大学教育研究14
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くない。筆者が訪れた時の公式ページでは、バージニア大学は、公立大学としては全米2位、大学全体では24位にランクされている、と謳われていた。写真3ジェファーソンの邸宅4.1異色の知覚研究所筆者が客員教授としてお世話になったのは、医学部精神医学・神経行動科学科の知覚研究所(DivisionofPerceptualStudies、通称DOPS)である。1882年にイギリスのケンブリッジ大学の学者達を中心に創設された精神現象研究協会(SocietyforPsychicalResearch)や、その二年後にアメリカ心理学の父ウィリアム・ジェームズらによって創設されたアメリカ精神現象研究会(AmericanSocietyforPsychicalResearch)の流れを汲むこの研究所では、人間の意識の謎を解明すべく、いわゆる超常現象に関して経験科学的な立場から研究が行われている。初代の所長、故イアン・スティーブンソン博士は、いわゆる前世を記憶する子ども達に関する研究を一つの学術分野として確立した精神医学者である。博士やその共同研究者が世界各地から収集した事例ファイルは2,600を超えるが、それらを直接手に取り、「几帳面で、綿密で、強迫的なほど慎重な研究者」と評された博士の研究の軌跡を目にすることができたのは、何にも代え難い貴重な経験であった。2007年に他界したスティーブンソン博士の後を継いで所長に就任したブルース・グレイソン博士は、臨死体験研究の権威的存在であり、博士が考案した臨死体験の内容を測る尺度は、臨死体験研究の現場で標準的なものとして広く用いられている。写真4研究所のある建物写真5世界中から収集された過去生記憶を持つ子供のファイルが収められたキャビネット(一部)この他、スティーブンソン博士の衣鉢を継ぎ、過去生記憶を持つ子供の研究に携わっているジム・タッカー博士や霊媒研究に携わっているエミリー・ケリー博士、まさに博覧強記の学者で研究のコーディネーター的存在のエドワード・ケリー博士、様々な意識状態の脳波計測を行っているロス・ダンシース博士など気鋭のメンバーが意識の問題に対して精力的に研究を進めている。また、筆者のように学外から研究所を訪れる研究者も多く、常に知的刺激に溢れた素晴らしい環境であった。研究所では専用の机とPCを貸してもらい、コピー機の使用もまったく自由であった。重要な文献のほとんどは大学の図書館を通せばオンラインで入手することができたし、図書館で入手できない文献については、研究所のスタッフが迅速に対応し電子版を入手してくれた。煩雑な手続きなく即座に文献の電子版を準備してくれる便利なシステムは本当に重宝した。―88―大門正幸

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