中部大学教育研究13
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動例をあげるなどの改善を行った。教員からは、「昨年よりスムーズであった」との感想があったが、学生の回答をみると、まだ十分とは言えないことが分かった。しかしながら、「計画を立てるのは難しい」という学生が2回目の調査で有意に減少したことや、本項目にはグループ間の差がみられたことからも、計画を立てる段階で細やかに対応していくことで、難しさは軽減できると考えられる。ところで、本授業における到達目標は、4年間継続できる活動先を探し実行可能なところまで計画することであった。多くの学生はこの目標は達成しており、春学期中にスタートを切った学生も少なからずいる。また、今後も継続して活動を続けたいという学生の記述もみられる。しかし、教員からは、春学期中にスタートを切れなかった学生や今後の継続へのフォロー体制がないことを指摘する意見がみられた。授業終了後にも、学科として社会貢献活動の継続をフォローする体制を整える必要がある。(3)「私400」について「私400」で提示された3回のテーマは、ライフプラン・キャリアプランとしては、教員・学生から肯定的に捉えられているようである。本活動は、ライフプラン・キャリアプランとして計画されているが、教員・学生の回答をみると、作文活動としての関心が高い。学生からは文章力に対する不安や文章力を付けたい、教員からは作文指導の必要性などが自由記述にみられた。ライフプラン・キャリアプランとしては、作文以外の方法を検討することも考えられるが、教員・学生ともに作文力の向上に対する関心や意欲が高いことから、作文指導も計画的に入れ込みながら行っていく方が良いだろう。「書くのは楽しいか」の評定平均値が他のグループより有位に高いグループでは、作文、ライフプラン、輪読が効果的に組み合わさることで楽しさが生み出されたと考えらえる。輪読・推敲については、学生の「他の学生からの影響を受けた」の評定平均値をみると一定の効果があったと考えられるが、教員からは互いに推敲するための時間と力の不足による否定的な意見が複数みられた。輪読・推敲には、他者のライフプラン・キャリアプランに触れて参考にするということと、作文力の向上に互いに役立てるという目的があり、予定ではこれに必要な十分な時間が計画されていたが、実際には、各自が作文を書くことに予想以上の時間がかかり、十分に輪読・推敲の時間を確保できなかったグループが大半であった。この場合、輪読・推敲の意義と効果が十分に感じられなかったと考えられる。一方、「楽しい」の評定平均値が有意に高かったグループでは、各自が下書きまでは授業時間外で行ってきたうえで、授業時間内には、輪読・推敲を中心に行っていたとのことであった。このように、授業時間内では輪読・推敲の時間を中心に展開していくことで、成果をあげることができると考えられる。(4)ディベートについて学生はディベートを難しいと感じている。自由記述をみると、これにはディベートとしての討論の技術だけではなく、テーマに関する理解や資料収集、資料の作成などについての難しさも含まれているようである。テーマについては、学生が身近と感じ、興味をもてるような学校教育に関する問題を選び、昨年度よりもかなり難易度を下げたつもりであったが、今年度もテーマの難しさを訴える回答が少なくなかった。今後は、テーマの理解を目的とした時間を設けるなど、何らかの教員の関与が必要であろう。本活動の難しさについては教員も感じており、討論の方法や資料作成の指導が必要との記述がみられる。現状ではこれらの難しさを支えるだけの指導の時間がとれないことは明らかであり、本活動のねらいと目標を再検討する必要がある。しかしながら、「楽しいか」の回答ではグループ間の差がみられており、現状においても指導の在り方によって、楽しいと感じられる活動にすることもできることが示唆された。「難しいが楽しい」との評価が得られるような指導のあり方を検討する必要がある。(5)学習指導要領勉強会について学生が学習指導要領の勉強を「難しい」と感じた理由について、学生と教員の意見を総合して考えると、学習範囲が広かったことと、配布資料がうまく使われずさらに範囲を広げたような印象を与えたことがあげられる。本活動のねらいは、学科の特性理解として学科でのこれからの学びの概要を知ることであり、学習指導要領の通読という方法がとられたが、教員の意見にみられるように、範囲を総則に絞るなどして、主体的で本質的な学びができるような改善が必要であろう。また、勉強会の難しさもあげられた。学生は皆で学ぶ勉強会の良さや意義は感じているものの、その方法や活動の進め方には疑問を持っており、教員からも勉強会の方法の在り方に関して同様の感想がみられた。勉強会の方法は、4月に学生同士で考えるように計画されており、まだ慣れない関係の中で十分に議論できないまま出された方法であった可能性が高い。個別の学習を促進するための勉強会の方法について、教員も交えて十分に議論してから始める必要があると考えられる。―77―「スタートアップセミナー」を学生はどう受け止めたかその2

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