中部大学教育研究13
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以上検討してきたように、3.1のアンケート結果と同様に、4つの活動に関して「役に立ち、意義があり、楽しいが難しいもの」と学生が捉えていることが分かる。自由記述によって、学生が各活動をどように受け止め、感じたのかを詳細に知ることができた。3.3担当教員を対象としたアンケート調査(1)「スタートアップセミナー」全体に関する設問について(設問1~5)設問1~5では、「ねらいについてわからないか」で1名が「どちらかといえばそう思う」と回答した以外は、すべてが評定3以上(逆転項目は2以下)の肯定的な回答であった。(2)社会貢献活動について(自由記述)「社会貢献の意義・意味を十分に理解させてから始める必要がある」「4年間の継続ではなく、一回で終わっている学生がいる」など、本活動の意義に対する学生の理解の低さや教員の説明不足に対する指摘があった。また、「学生の取り組みへの意識に差がある」「春学期中にスタートを切れない学生への指導が必要」など、活動の報告や確かめが十分にできていないとの意見があった。その他、「ボランティア情報関連のホームページの紹介などにより、昨年度よりスムーズになった」など、ボランティア先を見つけることがスムーズに行われたとの感想があった。(3)「私400」について(自由記述)テーマについては、「将来を真剣に考えてよい」「課題を明らかにすることができてよい」との肯定的な意見の他、「興味・関心を狭めてしまうところもある」との意見もあった。作文については、「基礎を学ばせる必要がある」「作文力の強化」など、作文スキルに対する指導が必要との意見が多かった。輪読・推敲については、「時間が足りない」「感想になってしまう」「推敲の意味をもたない」など、うまく機能していないとの指摘があった。(4)ディベートについて(自由記述)テーマについては、「おもしろく、学びになっている」「明らかに肯定意見が有利になるなどのテーマがあり再選定の必要がある」との意見があった。ディベートのスキルについては、「ディベートの論理的な討論への指導が必要」「調べる等準備の時間をもっととって、そこを評価したい」など、準備や討論の指導にもっと時間が必要であるとの指摘があった。その他、「パワーポイントでの発表の良い機会」「学生同士のコミュニケーションの良い機会」との意見や「昨年度に比べて時間的に余裕ができてよかった」との感想がみられた。(5)学習指導要領勉強会について(自由記述)学習指導要領の通読について「範囲が広い。読んでみた程度で終わってしまった」「総則のみでよい」「時間が足りない」「主体的な学びがねらいだったが、安直な方法になっている。本質を学ばせたい」など範囲や到達目標の見直しを求める意見があった。また、配布資料について、「資料があることにより勉強しやすかった」との意見がある反面、「資料が多く、消化不良」「プリントが多く、趣旨がぼけた」などの指摘があった。勉強会については、「学習会で何を学べばよいかが難しい」など、改善を求める意見があった。3.4学生と教員の回答の比較(1)「スタートアップセミナー」全体に関する設問について教員に対する設問1~5は、学生に対する設問8~12にあたる。両群とも最も評定平均値が高かったのは「役立つか」であり、次いで「意義があるか」であった。いずれも評定平均値は3.0以上であり、スタートアップセミナーは、教員と学生の両者から、今後の役に立ち、意義のある科目として評価されているといえる。(2)社会貢献活動について学生の「意義が分かるか」「ねらいがわからないか」の評定平均値をみると、学生は本活動の意義やねらいを理解していると考えているようである。しかし、教員からは、社会貢献活動の意義やねらいの指導の必要性や、説明不足を指摘する意見があった。これは、学生は単にボランティア活動の意義やねらいを理解しているが、教員は、さらに深く理解して取り組んでほしいと感じていることによると考えられる。すなわち、建学の精神に関するひとつの具体的な活動であることや4年間継続することの意味をも含めた社会貢献活動の意義である。まずは、本活動に込められたこれらの意義を理解させ、本活動を継続していくスタートを切るという意識を高める指導が必要であろう。このことによって、取り組みの個人差が激しいという課題も軽減できると考えられる。また、学生が「計画を立てるのは難しい」と感じることについては、昨年度の調査からも明らかにされていたため、今年度は、ボランティア情報が掲載されているホームページのURL一覧を配布し、具体的な活―76―古市真智子・吉田直子・味岡ゆい・長尾寛子

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