中部大学教育研究13
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3.2学生を対象としたアンケート調査(自由記述)(1)社会貢献活動について第1回アンケートは、学生が社会貢献の準備を進めている時期に行った。「忙しくてなかなか時間がないけれど、いい経験になると思うので積極的にがんばりたい」などの前向きな記述が多く、社会貢献活動で自己の成長を期待する学生が多いことがわかる。第2回アンケートは、多くの学生が社会貢献を体験した時期に行った。そのため「子どもと触れ合う機会があまりないので良い機会になってよかった」と活動の意義を理解し、楽しく活動に取り組み、自己の成長を実感している感想が見られる。また「地域の方と関わりを持つことができたのでよかった」と、地域での自分の位置を見つけ、社会の一員であるという意識が芽生えた学生もいる。さらに「社会貢献をしたことがなかったので、この活動で初めて社会貢献団体に入った。こうして地域に貢献することも大切だと思った」と、継続的に社会貢献活動に関わることを計画している学生もいる。社会貢献活動に対する難しさについての記述は第2回アンケートでは減少している。今回の社会貢献活動を通し、自分で計画し実施していく楽しさを感じ、自信がついたためと考えられる。(2)「私400」について「私400」の活動では、400字の作文を3回書いた。各回の課題は「いままでの自分」、「30歳の自分」、「30歳の自分を実現するための計画」である。第1回アンケートは1回目の作文を終えた時期に行った。記述の内容は3つに分類できる。第一は「改めて自分と向き合えた感じがした」などの、自己理解に関する記述である。第二は「文章を書くのは大変だが、書く練習になるのでうれしい、続けてほしい」など、文章力育成に関するものであった。第三は「自分について書くのは少し恥ずかしかったけど、みんなのことも知れたので良かった」と、他者を意識した自己表現やコミュニケーションに関する記述であった。一方、「自分のことを書くのは難しかった」と、内容の難しさや「まだうまく書けないので大変に感じる」と、文章力に対する不安を訴える学生もいた。第2回アンケートは3回の作文終了後に実施した。第1回アンケートと同様に3つの内容に分類できる。第一は自己理解に関するものであり、「今までの自分や将来について考える良いきっかけになった」などの記述があった。第1回アンケートより多くの学生が自己理解について記述している。第二は文章力についての内容で、「文章力がついた」などの意見があった。第三は自己表現やコミュニケーションに関する記述で、「自分の夢について書くのは少し難しい、だけど見つめなおして文章や言葉にしてみるのも大切だと思った」などの感想があった。第1回アンケートと同様に、「将来の自分について書くのは難しい」などのテーマの難しさや、「400字で自分のことを書くのは難しいと思う」など、文章力不足を自覚する学生もいた。さらに第一の自己理解についての記述数を比較すると、第2回アンケートの記入数は第1回アンケートの2倍になっている。作文を行う度に自己を見つめ自己理解を深めたのではないかと考えられる。(3)ディベートについて第1回アンケートはディベートの説明を受け、課題について理解し、対戦に向け準備を始めた時期に実施した。「自分の意見、他の人の意見を大切にして協力してまとめていくことが楽しい」などと、ディベートの基本的な意義を理解し、役に立つので積極的に取り組んでいきたいという姿勢が伺えた。また、「テーマが難しい」と難しさについて書いている学生もいた。第2回アンケートはディベートを終えた時期に実施した。「肯定や否定を考えることがとても大変だったが、どの職業に入っても自分の意見について発言するのは大切だと思う」と、ディベートは意義がある、今後役に立つ、楽しいと考えている学生が第1回アンケートより増加し、「グループ同士で協力して考えることができた」とチームワークの大切さを学んだ学生もいた。(4)学習指導要領学習会について第1回アンケートは学習会を始めて日が浅い時期に実施した。「グループの中で相談して大切なところを話し合えるので、とても勉強になると思う」というように、学習指導要領を理解し覚えるために役立ったという意見や、教員になることを見据え「教える側になって少し先生の立場になれる機会があるのでいい経験になったと思う」という意見もあった。一方、「自分で勉強すればいいので、正直いらないと思う」など、学習指導要領の学習方法について否定的な記述もあった。第2回アンケートは全ての学習会終了後に実施した。「自分でまとめて、重要なところに線を引いて、みんなの前で発表することはとてもいいことだと思う」など、学習指導要領学習の意義を確認しつつ学習活動を行い、成長したと実感し、将来の教員採用試験に役に立つのでさらに取り組んでいきたいと考えているようだ。しかし「教員になるには避けられないことだけど、みんなでやる意味が分からない」という意見もあった。―75―「スタートアップセミナー」を学生はどう受け止めたかその2

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