中部大学教育研究13
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1.2. 3. 4. 5. 昨今の大学全入時代においては、残念ながら、中学までの勉強ですら充分に身についていない学生は少なくない(佐々木2006)。それは本学においても例外ではないと思われる。さらに、勉強の仕方さえも分からないという学生もいる。そのような中で、本勉強会は、学生を公務員試験の勉強へ向かわせる動機付けに一定の役割を担っていると言える。3.3公務員試験対策勉強会の運営について図17、18は勉強会の開催頻度(週1回)が妥当か否かに関する質問に対する回答を示しているが、「どちらでもない」とう回答が大半を占めた。ピアサポートによる自主勉強会を学生主体で実施して欲しいと著者らは考えているが、現状は失敗していると言える。今後の課題である。開催の時期については、「1年生の春から」という回答が一番多かった(図19)。今後も1年次の春から実施することで、早期のキャリア形成に役立てていくべきであろう。本対策勉強会が開催されて良かったかどうか(図20)、次学期も勉強会に参加したいか否か(図21)に対する回答は、「少し思う」と「とても思う」でほとんどを占めた。しかし、残念ながら、「全く思わない」、「あまり思わない」という回答を選択した学生もいた。その考えられる理由は、知識・知能レベルが比較的高く勉強会で扱った内容が乏し過ぎたか、その逆か、あるいは、これまでの自身の学習方法との相違であろう。今後、どのような意図でそのような回答をしたのかを知り、個別の対応が必要なのかもしれない。また、勉強会運営自体の見直しも検討すべきかもしれない。また、2学年のべ51名の参加者に対して、勉強会のスタイルについて質問したところ(図22)、「教員による講義と視聴覚教材を用いた自習」が多く、次いで、「教員による講義と視聴覚教材を用いた自習と自習のみ」の組み合わせであった。このことは教員あるいは視聴覚教材における“講義”が少なくとも必要であることを意味している。また、米田と東山(2010)による、公務員試験問題を利用した学生への学習意欲向上への取り組みの調査の中で、試験問題の配布だけでは、充分に活用されないことの報告とも符合し得る。3.4公務員試験対策勉強会参加の継続が学生にどのような変化をもたらすか本研究では、2012年度春学期から2013年度春学期まで連続して参加した11名を対象にして、これまでに示した質問に対する回答の中央値がどのように変化するのかをWilcoxon符号付順位検定を用いて検討した。危険率5%未満をもって有意とした。統計解析にはStatView5.0ソフトウエアを用いた。全ての質問において、その中央値が有意に(P<0.05)変化することはなかったが、「今の自分の学力では、公務員試験に合格できないことを知った」という質問に対しては、そのように思わない側にシフトする傾向がみられた(P=0.08)(図23)。この結果は、本勉強会への参加の継続により、試験対策が少なからず身についていると期待し得るものである。また、「もう1日程度みんなで集まって教え合い・学び合いの機会が欲しい」という質問に対しては、そのように思う側にシフトする傾向がみられた(P=―63―正課外で実施する公務員試験対策勉強会から得られる効果と課題図17もう1日程度みんなで集まって教え合い・学び合いの機会がほしい図18この会の開催頻度についてどう思うか図19公務員対策の会を開始する時期はいつがよいと思うか1. 12. 13. 24. 25. 36. 37. 4図20この勉強会が開催されて良かった図21次学期もこのような会が開催されたら参加したい図22会のスタイルについて何が良いと思うか1. 2. 3. 4. +5. +6. +7. ++8. 1.2. 3. 4. 5. 1.全く思わない2.あまり思わない3.どちらでもない4.少し思う5.とても思う1.少なすぎる2.やや少ない3.ちょうど良い4.やや多い5.多すぎる

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