中部大学教育研究13
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1はじめに臨床工学技士は、医療の現場において医用機器の操作・管理を行う専門職種である。現在、多くの臨床現場では、高度化・精密化する医用機器の導入が積極的に行われており、今後も医療の現場では、ますます臨床工学技士の活躍が期待されている。臨床工学科では、このような医療施設の要求に答えるため、高度な医学と工学の知識を有した臨床工学技士の育成を目指している。臨床工学科は、これまで大学と併設されていた専門学校での教育実績を踏襲して2010年4月に開設された新しい学科である。大学ではこれまでの専門学校での教育をさらに発展させた臨床工学の教育が求められている。今回は、医用治療機器学実習でレポートの提出と返却をライブラリ上で管理・運用するという新しい方法を実践した。そこで、このシステムを用いることで得られた教育効果について、レポートによる成績評価およびアンケートによる結果を考察して報告する。2医用治療機器学実習2.1実習の概要医用治療機器学実習は、臨床工学科の学生が初めて医用機器に触れる実習である。本実習では、医用機器メーカーから講師を招き、最新の医用機器を用いて実習を行い、それぞれの機器の原理、構造、使用方法、適応疾患等を学習する。毎週使用する機器・メーカー・担当講師が異なるため、常に新鮮な気持ちで医用機器に対する好奇心を持たせることができることも、本実習の特徴である。表1に2012年度の医用治療機器学実習の日程を示す。2.2実習のレポートと評価レポートの提出回数は週1回とし、内容に不備がある場合と未提出の場合のみ、もう1回レポートを受理した。また新たな試みとして、次回の実習当日までに予備レポートを作成し提出することを11回目(6/21)から義務付けた。これは、事前に次回使用する医用機器の原理、構造を予習し、自分なりの疑問点を明確にさせることを目的としている。実習のレポートは、「MicrosoftWord」のテンプレートの書式を参考にA4で2ページ以内に書くように指定した。このレポートテンプレートをダウンロードして、実習レポートを作成する。図1にレポートのテンプレートを示す。レポートは、タイトル、実習日、担当講師、共同実習者の学籍番号および氏名、キーワードを書かせ、本文は2段組みとした。さらに、レポートの最後には、引用文献も書かせており、通常の実験レポートよりも学術論文に近い書式に近づけた。これは、臨床工学技士になってから症例報告などをする必要があるため、その訓練も兼ねている。表12012年度医用治療機器学実習日程表レポートの評価は複数の教員で行い、採点方法は、以下に示す10項目を各10点ずつ採点して、合計100点満点で評価した。レポートが未提出であった場合は、対象の学生を口頭で指導して、次週の提出日までに提出させた。この場合、ペナルティとして通常のレポートの点数から10点減点した。―55―中部大学教育研究№13(2013)55-59ライブラリの臨床工学科実習への活用-医用治療機器学実習における実践報告-吉田拓矢・小嶋和恵・武田明・福田信吾児玉泰・西山博司・当間健夫

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