中部大学教育研究13
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の方が前半よりも得点が有意に高かったが(それぞれ、F(1,1022)=6.50,p<.05、F(1,1022)=6.98,p<.01)、クラス2においては前半の方が後半よりも得点が有意に高かった(F(1,1022)=4.73,p<.05)。なお、授業週の主効果は有意ではなかった(F(7,1022)=0.77,n.s.)。「将来の目標がはっきりしている」については、いずれの交互作用も有意ではなく、授業週の主効果が有意であった(F(7,1022)=3.00,p<.01)。単純主効果の検定を行ったところ、5回目は1回目より、8回目は1、2、3、7回目よりも高かった。「何ごとにもチャレンジしてみたいと思う」については、開講時期とクラスの交互作用が有意であった(F(2,1022)=7.64,p<.01)。単純主効果の検定を行ったところ、クラス1では開講時期が後半の方が前半よりも得点が有意に高かったが(F(1,1022)=4.75,p<.05)、クラス2では開講時期が前半の方が後半よりも得点が有意に高かった(F(1,1022)=13.13,p<.001)。一方でクラス3においては差が見られなかった(F(1,1022)=0.41,n.s.)。また授業週の主効果が有意であった(F(7,1022)=4.20,p<.001)。多重比較を行ったところ、4回目は1、3、5回目よりも、7回目は1、3、5回目よりも、8回目は1、2、3、5、6回目よりも高かった。2012年度の授業の特徴としては、開講クラスの効果が認められたという点を挙げることができる。「自己開拓」の授業は、年度を追うに従って外部講師ではなく本学の専任教員が中心となって授業を進めていくという方針がとられている。本研究の結果は、そのような移行に伴って、クラスごとの教育効果のばらつきが生じ始めていることを示唆するのかもしれない。4まとめ本報告では、キャリア教育科目のひとつである自己開拓の授業効果を2010年度、2011年度に引き続いて検証する試みを行った。結果から、全体としては「自己開拓」を受講することで、心理的に望ましい変容が授業を通じてもたらされていると考えられる。3年間の教育効果の検証を通じて、「自己開拓」は安定した教育効果を示していることが明らかにされた。毎年受講する学生が異なっているにもかかわらず同様の教育効果が見られたという点は、「自己開拓」のカリキュラム内容が安定した効果を示していることを示唆していると言うことができる。しかしながら、毎週の意識の変化の部分で示唆されたような、開講クラスごとの教育効果のばらつきについては、今後も継続的に検討していく必要があるだろう。文献ハラデレック裕子・林芳孝・間宮基文・小塩真司(2011).新たなキャリア教育科目の効果(1)-「自己開拓」の概要と学生の成長-中部大学教育研究,11,43-47.小塩真司・阿部晋吾・カトローニピノ(2012).日本語版TenItemPersonalityInventory(TIPI-J)作成の試みパーソナリティ研究,21,40-52.小塩真司・ハラデレック裕子・林芳孝・間宮基文(2011).新たなキャリア教育科目の効果(2)-「自己開拓」による学生の心理的変化-中部大学教育研究,11,49-54.小塩真司・ハラデレック裕子・林芳孝・間宮基文・後藤俊夫(2012).キャリア教育科目「自己開拓」の効果-2011年度の授業について-中部大学教育研究,12,105-110.桜井茂男(2000).ローゼンバーグ自尊感情尺度日本語版の検討筑波大学心理学研究,12,65-71.白井利明(1991).青年期から中年期における時間的展望と時間的信念の関連心理学研究,62,260-263.杉若弘子(1995).日常的なセルフ・コントロールの個人差評価に関する研究心理学研究,66,169-175.浦上昌則(1995).学生の進路選択に対する自己効力に関する研究名古屋大學教育學部紀要.教育心理学科,42,115-126.助教人文学部心理学科佐藤友美准教授早稲田大学文学学術院小塩真司非常勤講師ハラデレック裕子非常勤講師林芳孝非常勤講師間宮基文―49―キャリア教育科目「自己開拓」の効果

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