中部大学教育研究13
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16.8017.0017.2017.4017.6017.8018.0018.2018.4018.6018.8019.00は差がないと言える。また、受講群における調査時期の効果に有意傾向が見られ(F(1,889)=3.25,p<.10)、授業前よりも授業後の方が、改良型セルフ・コントロールが高い傾向が見られた。しかし統制群にはそのような効果は見られなかった(F(1,889)=0.74,n.s.)。したがって、「自己開拓」を受講することによって受講していない学生よりも改良型セルフ・コントロールを高く持つ傾向があったと言える。なお改良型セルフ・コントロールについては、小塩他(2011)では交互作用が有意であったが、小塩他(2012)においては交互作用が有意ではなく、授業前後の主効果と群の主効果が有意であった。今回も交互作用は有意であったものの、単純主効果の検定結果は明確ではなかった。これらのことから、改良型セルフ・コントロールに対する「自己開拓」の教育効果については、あまり大きく一貫したものではないことが示唆される。図4改良型セルフ・コントロールの平均値外的要因による行動のコントロールについての結果を、図5に示す。分散分析の結果、交互作用は有意ではなかった(F(1,889)=0.32,n.s.)。群と調査時期の主効果のいずれも有意ではなかった(それぞれF(1,889)=0.87,n.s.;F(1,889)=0.49,n.s.)。したがって、「自己開拓」の受講によって外的要因による行動のコントロールの高さは変わらないと言える。外的要因による行動のコントロールについては、小塩他(2011)では授業前後で統制群の得点上昇が認められ、小塩他(2012)では主効果、交互作用ともに認められなかった。今回の結果とあわせて考えると、「自己開拓」は外的要因による行動のコントロールに対して明確な効果を持たないことが示唆される。図5外的要因による行動のコントロールの平均値調整型セルフ・コントロール(図6)については、有意な交互作用が見られた(F(1,889)=8.61,p<.01)。単純主効果の検定を行ったところ、授業前の受講群と統制群において調整型セルフ・コントロール得点の差は見られなかった(F(1,889)=0.54,n.s.)。つまり改良型セルフ・コントロールの高さは、「自己開拓」を受講する学生とそうでない学生とで授業前には差がないと言える。また、受講群における調査時期の効果が有意であり(F(1,889)=4.55,p<.05)、授業前よりも授業後の方が、調整型セルフ・コントロールが高かった。また統制群も調査時期の効果が有意であり(F(1,889)=5.33,p<.05)、授業前よりも授業後の方が、調整型セルフ・コントロールが低かった。したがって、「自己開拓」を受講した学生の調整型セルフ・コントロールは上昇する一方で、受講していない学生の調整型セルフ・コントロールは低下することが示された。なお、2010年度の授業では交互作用は認められず、調査時期の主効果も有意傾向のみ認められていた(小塩他,2011)。その一方で、2011年度では交互作用が有意であり、自己開拓受講者の調整型セルフ・コントロール得点の上昇が認められた(小塩他,2012)。これらの先行研究と今回の結果とを総合すると、調整型セルフ・コントロールについては、自己開拓受講者においては授業前後で一貫して上昇傾向にある一方で、統制群の得点が一貫していないことが示されていると言えそうである。従って、「自己開拓」の授業前後で、調整型セルフ・コントロールの上昇は明確ではないものの一貫して上昇傾向にあることが示唆される。―46―佐藤友美・小塩真司・ハラデレック裕子・林芳孝・間宮基文16.1016.2016.3016.4016.5016.6016.7016.8016.9017.0017.1017.20

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