中部大学教育研究13
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53.0054.0055.0056.0057.0058.0059.0060.0061.0068.0070.0072.0074.0076.0078.0080.00しかし統制群においては、そのような効果は見られなかった(F(1,889)=2.41,n.s.)。したがって、「自己開拓」を受講していない学生に比べて受講した学生の方が、自尊感情が高まったと言える。自己開拓受講学生において自尊感情が高まるという結果は、小塩他(2011)においても小塩他(2012)においても見出されており、本研究の結果は、同様の教育効果が2012年度の自己開拓においても見出されたことを意味する。3.1.2進路選択に対する自己効力の変化進路選択における自己効力について、自己開拓受講者と統制群における、授業前後の平均値を図2に示す。群と調査時期の2要因混合計画の分散分析をおこなったところ、交互作用が有意であった(F(1,889)=5.29,p<.05)。そこで単純主効果の検定を行ったところ、授業前の受講群の方が統制群よりも進路選択に対する自己効力得点の差が有意に低かった(F(1,889)=5.04,p<.05)。つまり、「自己開拓」を受講することにした学生はそうでない学生よりも進路選択に対する自己効力が低かったと言える。また、受講群によって調査時期の効果が有意であり(F(1,889)=10.66,p<.01)、授業後の方が有意に進路選択に対する自己効力得点が高かった。しかし統制群にはそのような効果は見られなかった(F(1,889)=2.03,n.s.)。したがって、進路選択に対する自己効力感が低かった学生が「自己開拓」を受講することによって、進路選択に対する自己効力が高まったと言える。小塩他(2011)や小塩他(2012)においても、自己開拓受講生の進路選択に対する自己効力の上昇が報告されており、同様の効果が2012年度受講生においても見られたことになる。図2進路選択に対する自己効力の平均値3.1.3時間的展望の変化時間的展望の自己開拓受講群と統制群別の、授業前後の平均値を図3に示す。群と調査時期の2要因混合計画の分散分析をおこなったところ、交互作用が有意であった(F(1,889)=4.99,p<.05)。そこで単純主効果検定を行った結果、授業前の受講群と統制群において時間的展望得点の差は見られなかった(F((1,889)=0.89,n.s.)。つまり、時間的展望の高さは「自己開拓」を受講する学生とそうでない学生とで授業前には差がないと言える。また、受講群における調査時期の効果が有意であり(F(1,889)=6.94,p<.01)、授業前よりも授業後の方が、時間的展望が有意に高かった。しかし統制群にはそのような効果は見られなかった(F(1,889)=0.09,n.s.)。したがって、「自己開拓」を受講することによって受講していない学生よりも時間的展望を高く持つようになったと言える。授業開始時においては、自己開拓受講者と統制群の学生との間で時間的展望に差は見られないが、授業後では自己開拓受講者のほうが統制群よりも時間的展望が高くなっていた。このことは、小塩他(2011)や小塩他(2012)で報告された結果と同様である。これらの結果から、「自己開拓」の授業を通じて、学生の時間的展望がより広がる傾向が示唆される。図3時間的展望の平均値3.1.4セルフ・コントロールの変化日常生活で観察されるセルフ・コントロール行動の個人差を評価する尺度(RRS)の3つの下位尺度それぞれについて、2要因混合計画の分散分析を行った。まず、改良型セルフ・コントロールについては、交互作用が有意であった(F(1,889)=3.99,p<.05)(図4)。そこで単純主効果検定を行った結果、授業前の受講群と統制群において改良型セルフ・コントロール得点の差は見られなかった(F(1,889)=0.86,n.s.)。つまり改良型セルフ・コントロールの高さは、「自己開拓」を受講する学生とそうでない学生とで授業前に―45―キャリア教育科目「自己開拓」の効果

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