中部大学教育研究13
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増設し、工学系、デザイン系、ビジネス系、人文系、保健医療系学部を持つ学生数1万人余りの総合大学になっている。中国学科は1995年という早い時期に設置されている。中国学科は現在、英語科、日本語科、社会福祉学科などとともに、「人文系列」(人文学部に相当)に属している。人文系列に属していることから見て、本来語学・中国文学中心の「中語中文学科」の延長線上に位置づけられるようにも思われる。中国学科のスタッフは、韓国人教員5名、中国人教員4名の9名で構成されており、このうち4名が語学系教員で、残り5名は中国思想、中国ビジネス、歴史学、文学、政治学などである。まず、中国学科のカリキュラムについて見てみたい。表2は、いわゆる教養科目を除いた専門科目の配置状況を示している。これを見ると、まず「中国語入門」「中国語会話」など中国語系の科目が29科目、「中国学概論」「中国経済」など中国研究系科目が19科目あり、中国語を教授する科目がかなり多い。これらの中国語系の科目は、「中国語入門」から始まり、おおよそ1年秋から4年春まで、選択科目が多いものの、週9~14時間(日本の大学では4.5~7コマ相当)準備されており、かなりの時間数であるといえる。また、「インターネット中国語翻訳」「大衆文化中国語」「映像中国語」など、やや特化した内容の中国語科目が開講されている。反面、中国研究系の科目は、必修科目も含め、2年春以降に開講されている。特に2年春の「中国経済」「中国歴史文化」「中国政治」の3つの必修科目がそのスタートであり、必修の卒業論文が課される4年秋にまで科目が配置されている。また専門教育カリキュラム全体としてみると、中国語系科目を先にスタートさせ、中国研究系科目は1年程度遅れてスタートさせている。これらの特性を、本学の中国語中国関係学科と比べるならば、教員構成や専門分野、そして何より中国語学習と中国研究の双方がある点が類似している。ただしこの両者の学科専門科目の割合は異なっている。本学中国語中国関係学科は、中国語系科目が22科目、中国研究系科目が32と、上述のN大学に比べ、いわゆる語学ではない中国研究系科目が多い。これは本学の場合、学科が国際関係学部にあるという点が影響しているともいえる。またカリキュラム上、中国語系科目をやや早くスタートさせる点はよく類似している。3.2N大学中国学科の学科運営と各種制度次いで、今回のインタビュー調査を通じて理解された学科運営や諸制度について、本学の例と比較しつつ述べていきたい。まず、目につくのは中国への多彩な留学制度である。N大学は中国に10校以上の姉妹提携校を持ち、中国学科を中心として数種類の留学制度を有している。それらは短期留学、二学位プログラム、交換留学、委託留学などである。短期留学制度は、夏と冬に行われる5週間の研修で、中国の海南島や青島などにある提携大学で語学研修を中心としたプログラムを受講するものである。この研修は大学から補助が出ており、費用の約3分の2を大学側が負担している。そのため、学生は航空券代と食費を負担する程度で良い。定員は夏20名、冬30名であるが、費用負担が軽いため希望者が多く、選抜をしている。また冬に行われた海南島研修は、廉価な宿の手配なども含めて、中国学科の教員が全体を統括しているとのことである。現在韓国では、文教政策として「登録金(授業料)の一部を学生に何らかの形でバックしなければならな―41―韓国の私立大学における中国学科の教育と学科運営表2N大学中国学科における専門科目の配置学期中国語系科目中国研究系科目1年春◎中国語入門1(3)、中国語演習(3)、中国学概論(2)1年秋中国語文法(3)、中国語入門2(3)、中国語入門会話演習(3)2年春中国語教科教育論(3)、中国語作文1(2)、中国語聴取1(2)、中級中国語会話1(2)◎中国経済(3)、◎中国歴史文化(3)、◎中国政治(3)2年秋◎中国語会話(中級)2(2)、インターネット中国語翻訳(3)、中国語教科教材研究及び指導方法(3)、中国語作文2(2)、中国語聴取2(2)中国近現代歴史文化(3)、中国産業観光地理(3)3年春◎中国語会話(上級)1(2)、中国語論評(3)、日常文化中国語(3)、HSK講読(3)◎中国社会(3)、中国文学(3)、中国ビジネス入門(3)、中国外交(3)3年秋◎中国語会話(上級)2(2)、観光中国語(3)、大衆文化中国語(3)、ビジネス中国語(3)、映像中国語(3)中国外交(3)、聖書購読(3)4年春ビジネス中国語翻訳演習(3)、国際ニュース講読(3)、中国語会話特講(3)中国と外国文化交流(3)、中国社会問題研究(3)4年秋◎卒業論文(2)、米中観光地理(3)、中国学セミナー(2)、現代中国(3)、現代韓中関係(3)*『N大学校要覧』による。科目名の◎は必修科目。科目名の後の()内の数字は週あたり授業時間数

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