中部大学教育研究13
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少数ではあるが、一部の私大に存在する。その一方で、外語系と思われる中国語学科、中国語学部などが外語系の大学を中心に存在する。たとえば、韓国外大などでは、中国語大学(日本で言うと「中国語学部」)があり、それに加えて通翻訳大学(通翻訳学部)にも中国語通翻訳学科が設置されている。ここまでの規模ではないにしても、外国語系の学部には中国語科は通常あるものと思われる。近年の中韓の経済的なつながりを反映してか、一部の私立大学には、社会科学大学(社会科学学部)や商経大学(商学部)などに中国ビジネス学科、中国通商学科なども存在しているが、それほど多いとは言えない。さらに、一部の私立大学には、「中国学大学」「中国学部」「中国学科」など、中国語と中国研究を組み合わせ、中国研究を前面に出した学部や学科を持つものもある。例えば、ソウル市にある江南大学校では、中国を総合的に研究する中国学大学(中国学部・定員100名)が2004年に設置され、その中に中国語文化学科、中国実用地域学科が設置されている。これらの総合的中国研究を標榜する学部学科は、多くの場合2000年代に、それまで存在した中国語系学科を改変して設置されたもので、比較的新しい試みと思われる。本稿で扱うN大学の中国学科は、上述の最後の類型か、あるいは、中国語教育寄りの「中語中国学科」に近いものと思われる。語学と国際知識・海外地域研究を教育の軸としている点で本学の中国語中国関係学科や国際関係学部と類似している。次章以降、その特性と、教育・学科運営について、筆者らの現地調査に基づいて報告していきたい。3韓国の私立総合大学における中国学科の教育と運営:N大学の事例3.1N大学中国学科とカリキュラム韓国の首都ソウルから南に80㎞ほどの、幹線鉄道沿いに位置するN大学は、私立のキリスト教系総合大学である(写真1)。1993年に産業大学として設置された比較的新しい大学であるが、その後学部(大学)を―40―澁谷鎮明・舛山誠一・和田知久表1韓国の四年制大学における中国語・中国研究系学科の類型写真1ソウル南部の地方都市にあるN大学写真2N大学中国学科における中国語授業学部・学科・専攻名称大学名<中国文学系>中語中文学科、中国言語文化学科、中国語文化学科、中国言語文化専攻など<国公立>ソウル大学校、慶北大学校、釜山大学校、ソウル市立大学校、仁川大学校、慶尚大学校、全北大学校、全南大学校、木浦大学校など<私立>高麗大学校、延世大学校、梨花女子大学校、漢陽大学校、東国大学校、誠信女子大学校など<中国文学+中国研究?>中語中国学科など<私立>蔚山大学校、鮮文大学校、湖西大学校など<外国語系>中国語科、中語学科、中国語学科、中国語文化学科、中国語学部、中国言語文化学部など<国公立>忠州大学校、ハンバッ大学校など<私立>韓国外国語大学校、慶煕大学校、中央大学校、水原大学校、檀国大学校、中部大学校、東西大学校など<ビジネス系>中国ビジネス学科、中国通商学科、中国地域通商学科、グローバルチャイナ連合専攻など<国公立>仁川大学校など<私立>漢陽大学校、中部大学校、江南大学校、世宗大学校など<中国研究系>中国学科、中国学大学、中国学部、中国地域学科など<国公立>昌原大学校など<私立>仁済大学校、江南大学校、南ソウル大学校、高麗大学校など<その他>韓中サイバー文化学科<私立>東西大学校*各大学のHP(韓国語・日本語)などによる

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