中部大学教育研究13
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うことである。これは、全ての授業で授業効果があることを単に示しているのではない。本プログラムによって、毎回のFD活動がよい結果を示していると単純に喜べない。それは、最初の授業効果の高い授業ほど、最終結果も高いということである。すなわち、受講生の受講意欲の平均値(良い学生が集まれば高いという主旨)が、結果に現れているにすぎないとの見方もできる。この点に関して、以下で追加指摘をしたい。5.2改善効果が少ない学生について本検討においては、受講意欲が低く、改善されない学生を重点的に意識することが重要である。これは、ボトムアップという実社会の努力と同じ主旨である。そのため、Cumocを利用した第2の目的は、受講意欲が低い学生の把握とその分析による授業改善である。受講意欲は、授業改善によって全体的に高めることができるが、5%程度の学生にはその効果は残念ながら小さい。表1に示す内容を指摘した理由は、授業のはじめに簡単な文章を読んで聞かせ、その概要をCumocで確認したが、5%くらいの学生は意味を取り違えて回答し、その改善はそれほどしなかった。これ以外にも、様々な工夫によって、その実体を把握した。その結果、表1に示す内容が把握できた。表1受講意欲が改善されない学生(?と記載)の特徴残念ながら、表1に示すような学生の基本的な姿勢を直すことは簡単ではない、そのことは、図9に示す結果から、以下の表2に示す内容が読み取れる。石鍋は表1、表2に示した内容の改善努力を、特に表3の第4項目の適用に努力した。具体的には、NHKの教育番組を利用し、これら映像利用学習の効果を確認できた。ここで、表2に示した受講生の受講意欲の向上が、大学全体の問題であることを改めて指摘したい。特に、初等教育はもとより、大学の初年次教育によって、読解力や主旨を理解する力を高めることの重要性を改めて再認識した。表2図9から読み取れる分析結果の要旨6まとめ以上の教育実践検討で、2節で示した目標設定値である4.5を達成できた。これには、Cumoc及びe-learning(Blackboard)の利用が大変有効に寄与した。さらに、「百の言葉よりも一つの映像」と言われるように、本学メディア教育センターの支援を受けて実施した、映像の有効利用(NHK教育番組を取り入れた授業)の効果も大きい。中部大学においても、映像を利用した教育の充実が益々重要であると指摘したい。加えて、チーム学習9)の重要性を指摘できた。部活などの教育効果としての重要性を指摘したい。それにも増して重要なことを図9によって指摘できたと考えている。すなわち、大学の初年次教育10)において、「聞く力とそれを正しく理解する力」を高めることを実践することが重要である。謝辞本実践教育に協力していただいた大学教育研究センター、総合情報センター、メディア教育センターの関係者に謝意を表する。参考文献1)杉井俊夫:2008年度春学期・秋学期「授業評価」における学生の自由記述からみた授業イメージ,中部大学教育研究,No.9,pp.35-38,2009.2)杉井俊夫・松浦均:「魅力ある授業づくり」への新たな取り組みと分析からの気づき-2008~2009年度授業評価から-,中部大学教育研究,No.10,pp.55-70,2009.3)Cumoc(授業改善アンケート):http://www3.chubu.ac.jp/university_education/fd/―37―e-learningを用いた双方向授業の実践報告

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