中部大学教育研究13
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そのため、結果として、上記のCumocやe-learning(BlackboardLearn)を利用できる教育環境でもある。本検討においてCumocの利用は重要な役割をもっている。その理由を説明するために、図1にCumocの概要を示した。特に、コンピュータに不慣れな学生は、それらの専門用語を理解できないことから、受講を断念する。この対策がまず重要である。機械系、建築系の学生の場合でも必ずしも一律にCADが好きとは言い切れない。加えて、化学や情報系の学生は製品設計として重要な商品の形状認識が不十分である。以上のことから、全学科の学生に教える際に、基本的な知識の理解度を確認しながら進めることは非常に重要である。授業中先生が学生に理解度確認の質問を実施→学生は無記名で回答→授業中に結果を確認(学生にも開示)→授業を即座に改善していく十分に理解できない学生に的確な対応が可能図1Cumocの特徴3.1~3.4で授業の内容を簡単に紹介する。これらの図は、各授業を受講した学生らの最終レポートを示しており、それらの授業の特徴を示すために記載した。3.1コンピュータ支援工学A6)これは、工学部共通の2年以上の3D-CAD教育である。機械工学科や建築学科及び都市建設工学科ではCADが必須であるが、本授業では情報工学科や電子情報工学科、電気システム工学科及び応用化学科の学生も多数受講しており、3次元CADを楽しみながら、その基本をマスターさせている。昨秋の受講希望者は2クラスで170名ほどあったが、抽選で120名ほどが2クラス(各60名以内)で受講した。受講者は増加傾向にある。その理由として、3D-CADは3D-プリンターとの連動7)によるコンピュータ利用設計技術として企業では益々重要となっている為と考えられる。さらに、文系の学生や聴講生も数名受講した。図2コンピュータ支援工学Aの作品例(ピアノとバイオリン:楽器好きな機械工学科2年3名チームの作品)授業ではSOLIDWORKS8)を用いて基礎及びある程度高度な機能を習得させており、さらには、図2に示したように、各2名~3名のチームで自由課題を課して、希望する作品を作成させている。3.2コンピュータ支援工学B同じく工学部共通3年以上の授業である。この授業6)ではコンピュータによる材料設計CAEから製品設計CAEの先端技術を体験させることにより、これらCAEの概要を理解させ、多くの会社で利用しているCAEを実施できる基礎能力を身につけさせている。具体的には、材料設計CAE教育として、ODESSEYを利用した分子シミュレーションを体験的に学習させている。さらに、LS-DYNAやABAQUSを利用させて製品設計CAEを体験させている。昨秋は一クラス開講し、工学部全体から3年生を中心に50名ほどの学生が受講した。図3は図2と同様に学生がまとめた報告内容である。図3コンピュータ支援工学Bのレポ-トの例(電子情報工学科と情報工学科の学生によるレポート)この授業の意義は学会6)でも紹介しその意義を評価されている。―34―石鍋雅夫・杉井俊夫・岡崎明彦

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