中部大学教育研究12
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ようである。担当者側は説明したつもりでも学生に届いていない可能性があることに気づかされる。次年度以降の計画や実施にあたっては、一つ一つの指摘を十分検討し、すべての学生が活動の趣旨や具体的方法を理解できるよう、説明の明確化、資料の配布などの効果的な方策を採り、より満足度の高い授業を実施する必要があろう。4今後の課題初年次教育は今や拡大と普遍化のステージにあり、専門分野や大学の類型別のプログラム開発が課題となっている(山田、2012)。すなわち専門教育に対応した初年次教育が今、求められている。このことは、児童教育学科の「スタートアップセミナー」の課題でもあると思われる。児童教育学科が改訂した「スタートアップセミナー」のシラバスも、学科の教育目標(大学生としての適応および学校教育に関する知識と技能の習得)に焦点を合わせて計画し実施してきたが、十分に専門教育の基礎や準備としての活動となっているかどうかの検証はできていない。児童教育学科の特色に応じた初年次教育の内容や方法を今後さらに追究すべきであろう。また、今回は学生の感想を調査したが、担当したすべての教員の意見や感想を捉えていない。授業は学生と教員で作り上げるものであり、学生の要望や満足度を肌で感じている教員の声を取り入れて検証し、今後の活動を計画していくことも課題の一つである。また、感想等のデータ分析の方法も改善する必要があると考える。謝辞インタビュー調査では児童教育学科1年生8名の協力を得ました。また「スタートアップセミナー」の授業内容は、児童教育学科教授三島浩路先生をはじめ多くの方のご尽力のもと作成され、授業は児童教育学科専任教員全員によって担当されています。関係の皆様に厚くお礼を申し上げます。引用・参考文献中部大学現代教育学部スカイアップ委員会(2009)中部大学現代教育学部における初年次教育(スカイアップ・プログラム)実践一年目の報告中部大学現代教育学部スカイアップ委員会(2010)中部大学現代教育学部における初年次教育(スカイアップ・プログラム)実践2年目(平成21年度)の報告中部大学現代教育学部スカイアップ委員会(2011)中部大学現代教育学部における初年次教育(スカイアップ・プログラム)実践3年目(平成22年度)の報告中部大学現代教育学部スカイアップ委員会(2012)中部大学現代教育学部における初年次教育(スカイアップ・プログラム)実践4年目(平成23年度)の報告中部大学全学共通教育部初年次教育科(編著)(2012)大学で学ぶ-スタートアップセミナー参考テキスト-ナカニシヤ出版濱名篤・川嶋太達夫(編著)(2006)初年次教育歴史・理論・実践と世界の動向丸善株式会社早矢仕彩子・太田伸幸(2009)中部大学現代教育学部初年次教育プログラム(スカイアップ・プログラム)初年度の試み現代教育学研究紀要第2号Pp.1-12隅谷三喜男(1981)大学で何を学ぶか岩波書店杉谷祐美子(2006)日本における初年次教育の動向濱名篤・川嶋太達夫(編著)初年次教育歴史・理論・実践と世界の動向第5章Pp.69-79丸善株式会社高松正毅(2008)アカデミック・リテラシーからスタディスキルズへ、さらには初年次教育への展開高崎経済大学平成18年度特別研究報告書大学全入化時代におけるスタディ・スキルズ教育に関する基礎的研究Pp.97-103山田礼子(2012)学士課程教育の質保障へむけて学生調査と初年次教育からみえてきたもの東信堂教授現代教育学部児童教育学科吉田直子准教授現代教育学部児童教育学科古市真智子助教現代教育学部児童教育学科味岡ゆい准教授現代教育学部児童教育学科長尾寛子―66―吉田直子・古市真智子・味岡ゆい・長尾寛子

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