中部大学教育研究12
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123452.3調査内容2.3.1障がい者スポーツのイメージについて障がい者スポーツに対するイメージについて、吉岡ら(2008,2010)の質問項目を参考に肯定的イメージと否定的イメージを対にした形で10項目設定し(例:障がい者スポーツでは技術向上は望めない-技術向上も望める)、否定的なイメージを「1」、どちらともいえないを「3」、肯定的なイメージを「5」として1から5までの5段階評価を得点化し分析を行った。2.3.2障がい者に対するイメージや関わり方について障がい者に対するイメージについて、松本ら(2009)・田中ら(2004)・松村ら(2002)の質問項目を参考に肯定的イメージと否定的イメージを対にした形で10項目設定し(例:障がい者は性格が暗い-明るい)、否定的なイメージを「1」、どちらともいえないを「3」、肯定的なイメージを「5」として1から5までの5段階評価を得点化し分析を行った。2.3.3コミュニケーションの有能感についてコミュニケーションに対する意欲を測定するため、町田(2009、2010)の研究で用いられたコミュニケーションの有能感に関する質問項目22項目のうち、因子分析(町田,2010)によって得られた4因子19項目を本研究において用いることとした。第1因子は、自ら積極的に人と関わり明るい雰囲気を作っていく行動特徴に関する内容の「社交性因子」6項目(項目例;誰とでもうまくやっていくことができる)である。第2因子は、相手の気持ちや周囲の状況に意識を向けることに関する内容の「相手志向性因子」6項目(項目例;話している相手の気持ちのちょっとした変化を感じる)である。そして第3因子は、コミュニケーションの送り手として考えや感情を表現できるかどうかに関する内容の「自己表現因子」4項目(項目例;自分の意見や考えをわかりやすく人に伝えることができる)である。最後に第4因子は、傾聴の姿勢を表す内容の「傾聴因子」3項目(項目例;適度なあいづちを打つことができる)で構成されている。それぞれの項目に対して、「1.あてはまらない」から「4.あてはまる」までの4件法で回答してもらい得点化し、4因子の合計点ならびに総合点を用いて分析を行った。3結果3.1障がい者スポーツに対するイメージの変化もっとも平均値が高く肯定的なイメージを持っていた項目が「スポーツを行う意味がない-とても意味のある」(M=4.97,SD=.186)で、もっとも平均値が低く否定的なイメージを持っていた項目は「スポーツを行うのは難しいこと-簡単なこと」(M=2.66,SD=.936)であった。この項目のみが障がい者スポーツに対する否定的なイメージを抱いていることが明らかになった。企画の前後で障がい者スポーツに対するイメージがどのように変化したかを検討するために対応のあるt検定を行った。その結果、「スポーツを行う意味がない-とても意味がある」「スポーツをやるべきではない-積極的にやるべきである」「健常者が一緒にやるものではない-一緒にできると思う」の3項目で前後での有意な差は認められなかった。その他、7項目においては有意差が認められ、企画前よりも企画後の方が、イメージが肯定的に変化していることが明らかになった。有意な変化が認められなかった項目は、企画前の調査から肯定的なイメージが強いと評価していた上位から3項目であったため、それ以上の肯定的な変化は認められなかったと考えられる(表1)。表1障がい者スポーツに対するイメージの得点変化3.2障がい者に対するイメージの変化もっとも平均点が高く肯定的なイメージを持っていた項目が、企画前では「困っていそうでも声はかけない-困っていそうだったら声をかける」(M=4.17,SD=.658)で、企画後は「近くにいるのは怖い-怖くない」(M=4.76,SD=.511)であった。もっとも平均値が低く否定的なイメージを持っていた項目は、企画前後ともに「生活が大変だと思う-大変ではない」(企画前;M=2.03,SD=.626,企画後;M=3.21,SD=.978)であった。その他、「何を考えているかわからない-気持ちがわかる」では否定的なイメージを抱いていることが明らかになった。企画の前後で障がい者に対するイメージの変化を検討するためにt検定を行った。その結果、「すぐにあきらめやすい-続ける力がある」のみ有意な変化はな―56―西垣景太・上田ゆみ子・藤丸郁代・伊藤守弘

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