中部大学教育研究12
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ている教材に出てくる語彙を増やし、さらには新語にも対応することで、一層厚みのあるデータベースの構築を進めていく予定である。また、音声面だけでなく、品詞を充実させ、より検索の絞り込みができるように進めていきたい。4中国語中国関係学科におけるあり得べき中国語教育システムとは本項では、中国語中国関係学科における中国語教育システムの到達点と、依然解決を待たれる問題点を検証する。4.1本学科の教育課程全体における中国語コミュニケーション科目の位置『学生便覧』では、中国語中国関係学科の教育の特色を「語学教育を重視し、中国語の高度で実際的なコミュニケーション能力を身につけた上で、政治、経済、文化、ビジネスなど広い視野から中国を理解し、中国・アジアと日本を結ぶ実社会の現場で幅広く活躍できる人材の養成を目指す」としている。これをより具体的に教育カリキュラムの中での科目群で捉えるのであれば、中国語を学ぶ「中国語コミュニケーション科目」と、社会科学や人文科学的な視野から中国について学ぶ「中国研究科目」が学科における教育の「二つの大きな柱」となっている。実際にも「中国語コミュニケーション科目」は、本学科の教育カリキュラムの中で占める割合は大きい。単位数からいえば、本学科学生の卒業要件とされる総単位数128単位のうち、中国語コミュニケーション科目は必修科目も含めて26単位以上の取得が求められている。これは、国際関係学部のその他の学科である国際関係学科、国際文化学科が地域言語科目として、英語を主とした外国語科目の履修をそれぞれ12単位、14単位と卒業要件にしているのに比べると格段に多い。また、本学科の中国語コミュニケーション科目は、一年次春学期の中国語ⅠA・中国語ⅠB、ビジネス中国語Aから、三年次秋学期の中国語ⅥA・中国語ⅥB、上級中国語Bまで、1週間に6コマ開設されており、4年次でも1週間に2コマ中国語を学ぶことができるようになっている。英語と異なり、中国語が初習言語でもあることなど、単純な比較は意味をなさないかも知れないが、本学科が専攻語とも言うべき中国語の習得を重視していることが理解できよう。また、本学科の中国語教育システムの特徴を挙げるうえで、やはり協定校の外交学院における夏期研修に触れることが必要である。この制度については前項で于が言及しているが、それ以外にも本誌『中部大学教育研究』ですでに三度にわたり、研修概容から運営、通常授業との連携や、外交学院と本学科の中国語教育担当教員間の交流についてなど、詳細にわたって紹介と検証を行ってきている。本学科の中国語教育システム全体の中で重要な位置を占めていることは言うまでもなく、今後、本学科の中国語教育システムを充実させていく上で、通常授業との連携がより図られるべきものである。それに加えて、国際交流センターによる派遣留学プログラムについても言及せねばならない。本学は中華人民共和国において、外交学院もふくめて6大学と学術交流協定を締結しているが、本学国際交流センターによってハルビン理工大学、華東師範大学への派遣留学プログラムが実施されている。プログラム内容にはそれぞれ違いがあり、ハルビン理工大学へは「中国語・中国文化派遣留学プログラム(中級・上級)」として、春と秋に4ヶ月間の派遣を行っている一方、華東師範大学へは「派遣留学プログラム(中級・上級)」として、春と秋に4ヶ月間の派遣を行っているほか、希望し認められれば約1年(10ヶ月間)の現地留学が可能となっている。また、華東師範大学への派遣留学プログラムでは、中国語の研修に加えて大学本科の授業を受講することが可能である。現地で履修した授業については、本学の科目として単位の読み替えが行われ、卒業要件の総単位数に含まれ、本学在籍のまま4年間で卒業が可能であるため、派遣を希望する学生も多いものの、学内選考時に涙をのむものもいないわけではない。本学科の学生もすでにこのプログラムに応募・合格し、各大学に派遣されている。ハルビン理工大学へは、2010年に4名、2011年に1名がそれぞれ4ヶ月間派遣され、華東師範大学へは、2011年に1名が10ヶ月間、2名が4ヶ月間派遣され、現在、2名が4ヶ月間の予定で派遣されている。帰国した学生の中には、比較的長期にわたる現地での生活経験も相まって後述のHSK5級を取得したものなど、中国語学習の面で大いに成果を上げた者もいるほか、学科教育のもう一つの柱でもある中国理解についてもその進歩がうかがわれ、大学院進学を希望する者も輩出することになった。4.2本学科の中国語教育システムの到達点本学科の中国語教育の成果としてひとつの参照軸となるのは、やはり検定試験の取得状況であろう。本学科で受験を推奨している中国語の検定試験は中国語検定とHSKである。中国語検定は、一般財団法人日本中国語検定協会が実施するもので、1981年から2012年11月までで78回実施されており、わが国における中国語の運用能力を測定する検定試験として代表的な存在である。「中国語学習の準備完了」レベルの準4級か―47―中国語中国関係学科における中国語教育システムの確立と教育効果の可視化にむけての取り組み

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