中部大学教育研究12
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1はじめに中国語中国関係学科は2009年の開設から3年が経ち、2012年度には完成年次を迎えた。2013年3月には、初めての卒業生を社会に送り出すことになる。教育カリキュラムも「ひと巡り」し、ようやく全体を見渡すことができるようになったが、それは各所に見いだされた問題点を調整すべき時期が到来したことを意味している。私たちは中国語中国関係学科の中国語コミュニケーション科目を主に担当する教員であり、これまで本学科における中国語教育システムの全般的な検証をすすめてきた。一貫したテーマは、学科教育全体における中国語教育システムのあるべき姿を探求することであった。具体的には、「学科の通常の授業期間を通して行われる中国語の授業と、1年次在籍生の必修科目でもある北京・外交学院での夏期研修との連携」、「中国系の学生や中国語の既習者を対象に実施していた特別クラスの授業内容の検討と充実」、「中国語教育の成果を可視化する手段の一つとしての語彙データベースの構築・拡充と実際の運用」の3点に凝集される。これらの教育分野における研究は、程度の差こそあれ一定の成果を収め、あるものについてはすでに本学科の中国語教育の現場にもフィードバックがなされつつある。本稿では、昨年度から今年度にかけて実施されてきた、本学科の中国語コミュニケーション科目を主に担当する教員による研究成果と授業についての考察を紹介する。2北京夏期研修における中国語学習に関する一考察中国語中国関係学科の北京夏期語学研修は2009年から始まり、本年度で4回目を迎えた。研修期間は例年と同様に8月第1日曜日からの4週間、つまり今年は8月5日から9月1日までであった。本研修の目的は、すでに『中部大学教育研究』No.11(2011年)に和田の報告があるためここでは触れない。一般的に会話とリスニングの授業は読解能力を習得する上で必要なトレーニングであると考えられるため、本項では、中国語の読解の授業のみを取り上げ、研修プログラムを踏まえ、読解の授業で使用された教材を中心に分析しつつ、授業の到達目標を考察していきたい。2.1クラス構成と授業時間割今年は研修二日目に行われた筆記試験と口頭試験の成績によって、クラスAとクラスBの二つに分かれることになった。小学校まで中国で過ごした中国系の学生2名はBクラス、その他の学生17名はAクラスに分けられた。夏期研修における4週間の中国語の授業は、月曜日から金曜日までの午前中に行われた。二つのクラスの時間割は以下のとおりである。研修プログラムの授業時間は1コマが45分間で、1科目は2コマ連続で行われた。到着翌日の8月6日(月)に行われたクラス分けテスト及び8月30日(木)、31日(金)は修了試験が行われたため、授業日ではなかった。実際の授業期間は8月7日(火)から8月29日までであった。2.2使用教材について2.2.1Aクラスの教材について読解の授業で使用された『初級漢語』は、外交学院対外漢語教研室が今年作成したものである。中国語の発音から基礎会話までの24課で構成されているが、本研修プログラムはその半分の12課まで講義が行われた。―43―中部大学教育研究№12(2012)43-50中国語中国関係学科における中国語教育システムの確立と教育効果の可視化にむけての取り組み和田知久・于小薇・伊藤正晃Aクラス1・2限(8:00~9:40)3・4限(10:00~11:40)月読解リスニング火読解会話水会話読解木会話読解金リスニング会話Bクラス1・2限(8:00~9:40)3・4限(10:00~11:40)月リスニング会話火読解会話水会話読解木会話読解金読解リスニング

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