中部大学教育研究12
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定して、細部の肉付け、場面構成、場面毎のセリフを検討するという形で進行する。絵コンテを作成する場合もある。なお、最も支持されたストーリー案を考えた参加者が監督となる。今回は、周知不足と映像作成への経験不足から事前のストーリー検討が十分でなく、その場で、アイデアを出し合う形になった。テーマである「木とコンクリート」をどのように解釈するかで、様々な考え方が出された。特に通常の授業ではおとなしかった学生から積極的なアイデアや意見が出されたり、習った専門知識を含めて自信を持って話す学生の姿が印象的であり、この場だけでも授業では見られない気づきがあった。最終的に、グループ1では、自然を大切にする田舎出の男の子と都会育ちで開発重視の女の子の対比をドラマにするストーリーへと集約された。グループ2では、エコロジーオタクの大学生に女子高校生がうんざりするというストーリーが出来上がった。ストーリーが決まると、それぞれの意見を出し合って、白板に、登場人物のキャラクター、場面展開、主なセリフなどが書き出され、次第にシナリオが出来上がっていった。田舎出の男の子を象徴する小道具として、大量の野菜を調達することなども決まった。5.3役割分担・ロケハン・技術指導ストーリー案が確定した時点で、主なアイデアを提示した参加者が監督に決まった。さらに、ストーリーの詳細が決められる中で、必要な役者の人数とキャラクターが決まり、役者担当が決まった。残りのメンバーから、カメラ、録音、記録、撮影助手、編集といったスタッフの役割が割り振られた。カメラ操作、編集技術などに関心を持って参加した学生は、積極的に機器操作の担当を希望した。一日目の終了1時間前には、シナリオは概ね見通しがつき、翌日の撮影に向けて、撮影場所として想定される学内の各場所の確認(ロケハン)を実施した。並行して、技術担当には、カメラ、マイクなどの機器の基本的な操作方法についてレクチャーが行われた。なお、カメラ、マイク等の撮影用の機材は講師が持ち込んだ業務用のものを使用した。編集機材については、学科の方で準備した。5.4撮影二日目には、前日作成したシナリオに沿って、撮影が行われた。シナリオの順番に沿って、撮影を重ねて行く「順撮り」と言われる方法で行った。セリフが早口になる、カメラ目線になってしまう、画面にマイクが映ってしまう、カメラの位置が決まらないなど、当初は、不慣れからのとまどいがあったが、次第に撮影に慣れていき、急ピッチで撮影は進んだ。当日は天候が不安定で、突然の雨に撮影が中断することもあったが、おおむね時間内で撮影を終了することができた。最終的には、15分程度の作品に編集されるが、機材のセッティング、複数方向からの同一カットの撮影、NGテイクの再撮影、つなぎとなる風景シーンの撮影などで、撮影には6時間以上を要した。写真5グループ1の撮影風景写真6グループ2の撮影風景写真7教員が参加した撮影風景グループ1では、オープンキャンパスであることを利用し、実験設備の開放や公開講義を行っている教員の協力を得て、振動台や水難体験設備のシーンの撮影を教員も演じる形で実施した。―35―都市デザイン能力の獲得のための映画制作教育

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