中部大学教育研究12
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が生じていて、どっちも正しいと思うんだけど、どっちにやってけばいいのかなと思って、どうしたらいいですかねっていうのを相談して、先生と私と3人でどういうふうがいいのかなっていうのを話し合ってやっと決まった。(中略)(実習施設での方法を教員に)説明したんですけど分かってもらえなかったのがちょっと一番しんどかったですね。(事例E)4.2学びに関連する要因学びに関連する要因としては、外的要因と学生自身の内的要因に分けられた。外的要因としては【学生の不安な心情に寄り添う教員や指導者】【教員や指導者に相談することへの躊躇】【指導者や教員の実際的なサポート】【肯定的なフィードバック】【学生同士で共有しあえる状況】【学生同士で共有しにくい状況】の6つのカテゴリー、また学生自身の内的要因としては【障がい児の母親の気持ちを知りたいという思いと患児への寄り添いの気持ち】【自分を否定される怖さと回避】【自分の力で困難に対応する】【望ましい看護師像】の4つのカテゴリーが形成された。外的要因1)学生の不安な心情に寄り添う教員や指導者学生は、<受容的なかかわり>の指導者や教員の存在を認識すると、<気持ちを打ち明けやすい心理的な距離>にいると感じ、受け持ち患児とかかわる際の怖いという気持ちを表出することができていた。先生とか、指導者さんが「そのときどう思ったの」とか、何かそうやって、気持ちを振り返って言ってくれたりとか、どう感じてても、受容っていうか、「ああ、そう思ったんだね」とか言ってくれたから、たぶん「怖い」っていうことも言えたし。(事例A)2)教員や指導者に相談することへの躊躇複数の病棟で実習している学生の指導にあたる教員の姿を見ていた学生は<忙しそうな教員へのサポートや指導への遠慮>をしたり、<教員とのかかわりのなさ>を実感していた。また学生は<口数が少ない指導者>には不安な気持ちは相談しにくく相談することを躊躇していた。病院に1人しか先生がいなくって、先生が大変そうで受け持ちの患者さんを理解してくれてないわけじゃないんですけど、深く先生が1人ずつの情報を持っているというわけじゃたぶんなくって、病棟にいる時間も少なくって、病棟来てくれてちょっと記録を見てみたいな感じだったので(中略)タイミングとか、なんか聞きにくくって。(事例C)指導者さんも何も指導してくれなかったわけじゃないんですけど、ただ、ちょっと口数が少ない指導者さんな感じだったので(中略)でも処置のときとかは一緒に横に立ってくれて、一緒に手順も教えてくれてしたので、技術面でとかではそんなに困ってないんですけど、一番困ったのではコミュニケーションだったので。(事例C)3)指導者や教員の実際的なサポート学生は様々なケアを経験する機会を与えられ、指導者から適切な情報提供を受けたり、共にケアに取り組んでもらい技術面のサポートを受けたりすることによってケアが怖いという思いが軽減されていた。また、指導者や教員が<役割モデルとなって患児の示すサインの読み取りを助ける>ことで、学生自身もその感覚をつかむことができていた。本当にどこからこの子の感情を読み取っていいのかっていうのが最初全然わかんなかったんですけど。指導者さんとか先生とかも、積極的に看護にかかわってたので「あ、今痛いね」とか、何か、あの「サチュレーション上がってきてるから、今は楽なんだね」とか。何かそういうことを、あのフィードバックしてる部分を直接見せてくれたので、「あっ、こういうことから読み取ってけばいいんだ」っていうのが分かって。そこからは何か感覚をつかめたっていうか、っていう感じでした。(事例A)4)肯定的なフィードバック学生は<教員からの肯定的なフィードバック>を受けると、学びの意欲が促進させられていた。また学生は<自分のかかわりで泣き止む患児>という、患児へのかかわりに対して患児から肯定的なフィードバックを受けることでも学習意欲が促進されていた。ほんとにそれがその子に合ったケアなのかってこととかも考えると、やっぱり何か、ただ指摘だけじゃなくて、でもこの子にはこういう状況があるから、ここはよかったよっていうふうに言ってもらった方が、やっぱり初めてのことなので、何かよかった、この考え方はよかったんだなって思えるので。(事例D)5)学生同士で共有しあえる状況学生は、<これまでの実習で築いた仲間との関係や、―13―小児看護学実習における看護学生の実習困難感と学びの実際

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