中部大学教育研究12
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何かやっぱ、やりたくない時はやりたくないし、やりたいって時は装具つけずにベッドに立ったりとか。看護師さんが見てないと1人で立つ。私が介助で立っても危ないと思って。(事例B)2)家族とのコミュニケーションに関する困難小児看護学実習では家族とのかかわりが重要になってくるが、学生は【家族とのコミュニケーションに関する困難】を感じていた。家族の面会が少ない児を受け持った学生は<母親不在で情報収集ができず患児とのコミュニケーションが不安>と感じていた。情報収集するときに、親からの情報が収集したいって思ってたんですけど両親もなかなか来なくて、2週間の実習中の最後に初めて両親とお会いしたんですけど、それでなかなか情報も取れなくて、初日はすごい『これから2週間どうやってコミュニケーションとってったらいいんだろう』って(思った)。(事例C)また、双子で入院している一方を受け持った学生は受け持ち患児だけでなく、きょうだいともコミュニケーションをとらなければ、受け持ち患児への看護にも影響を及ぼすことを理解してはいるものの、<きょうだい双方にかかわる難しさ>を感じていた。今までの実習だったら1人を受け持って、1人を援助するとか、そういったところがあったんですけど。今回は双子を受け持ったので、一緒にみないといけないんですけど、最初はすごい一生懸命、病態とか状況とか把握しようと思って、受け持ちさんばっかりの看護ばっかりになってしまって、きょうだい関係にうまく一緒に入り込めなかったというのもあって。(事例B)3)看護技術やアセスメントへの自信のなさ学生は【看護技術やアセスメントへの自信のなさ】を感じていた。学生は患児への看護技術の提供やアセスメントに関して事前学習や臨地での指導を得ているものの、<患児情報の少なさ>の中でアセスメントしてかかわることを大変に思ったり、患児に術後の痛みがある中で看護を提供しなければならない<小児の術後看護への戸惑い>を感じていた。R病院では、小さいころからずっと何年も(利用している)っていう子が多いんですけど、ちょうどこの子は受け持った時に入院したばっかの子で、担当の看護師さんも、まだあんまり情報がうまく取れてない子だったので。(中略)いろいろ、その、看護師さんのかかわりとか、そのお母さんがどんなふうにかかわってるとかを見ていくうちに、こうしたらいいのかなっていう考え方で、何とかちょっと探り探りで。(事例D)(患児が)術後で陰洗(陰部洗浄)をする機会があって、その時に足を少しでも動かすとすっごい痛いっていうので、陰洗は、今まで(の応用実習で)は(股関節を)開けてやってたんですけど、それができなくて(大変だった)。(事例E)4)生命への影響が大きいと感じるケアへの不安さらに学生は、重度の障がいをもつ受け持ち患児が必要とする【生命への影響が大きいと感じるケアへの不安】を感じていた。突然起こる<てんかん発作時の対応の不明さ>に苦慮したり、筋緊張や関節拘縮による姿勢異常や骨折のリスクを考慮した清潔ケアや抱っこなどの日常生活援助をおこなうことは学生にとっては、<高い技術を求められるケアを実施することへの怖さ>につながっていた。受け持ち患児はてんかんももってて、1回普通に見たときに、ちょうど眼振(眼球が無意識に動く現象)があって、突然起こるので、どうしたらいいんだろって感覚になってて。(事例D)怖いっていうのは、この子が骨折しやすいとか、姿勢異常とか気管切開とかチューブが出てたりとかいろいろしてて、ケアをするときに清拭も怖かったし、シャワー浴も怖かったし、ケアがすごく怖いって感じました。(事例A)5)指導体制や同一でない指導内容への困難複数の病棟を1人の教員が指導に当たっていたため、教員が不在になることや、教員-指導者間や指導者同士で指導内容に違いが生じると【指導体制や同一でない指導内容への困難】を学生は感じていた。具体的には病棟を移動する教員をみて<多忙な教員への声のかけづらさ>を感じたり、術後の患児への清潔ケアにおいて、学生は教員と指導者で指導内容が異なっているように感じ、<指導者と教員のケア方法の違いへの困難感>を感じていた。(陰部洗浄の方法を)教えてもらうのは学校の先生なんですけど、実際に現場につくのはR病院の人だと思うんで、やる場面で必要物品の時点で食い違い―12―清水いづみ・畑中めぐみ・大村政生・山田恵子・石井真・山田知子・石黒彩子

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