中部大学教育研究12
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性・相違性を検討しながら類型化し、サブカテゴリー・カテゴリーへと抽象化をおこなった。分析にあたっては、研究者間でコード・サブカテゴリー・カテゴリーの合意が得られるまで繰り返し討議することで、分析の確証性の確保に努めた。3.4倫理的配慮本研究は、本学の倫理審査委員会での承認を得ておこなった。研究協力を依頼するにあたり、研究の目的、方法、自由意志の尊重、参加拒否の権利(実習評価やその後の教育に一切影響しないこと)、研究途中での不参加の保証、匿名性の保持、記録の保管と処分方法について文書と口頭で説明し、同意書への署名の得られた者を研究対象とした。4結果対象者5名の受け持ち患児の概要は(表1)に示した。また、心身障がい児を多く受け入れている病院で小児看護学実習をおこなった学生が抱く困難の実際、学びに関連する要因そして、学びの実際に関する概念については(表2)に示した。以下、結果を述べるにあたり、カテゴリーを【】、カテゴリーを説明するサブカテゴリーを<>と示す。さらに会話の一部を挿入する際には斜字で示し、会話に補足が必要な場合には()で補った。また、挿入の最後には事例番号を示した。4.1困難の実際心身障がい児が多く入院する病院で小児看護学実習をおこなった学生が抱く不安や困難感としては、【受け持ち患児との言語的コミュニケーションやかかわりへの困難】【家族とのコミュニケーションに関する困難】【看護技術やアセスメントへの自信のなさ】【生命への影響が大きいと感じるケアへの不安】【指導体制や同一でない指導内容への困難】の5つのカテゴリーが形成された。1)受け持ち患児との言語的コミュニケーションやかかわりへの困難学生は心身障がい児との対面で、【受け持ち患児との言語的コミュニケーションやかかわりへの困難】を感じていた。学生は心身に障がいがある受け持ち患児の吃音障がいや言語中枢の障がいにより<言語的コミュニケーションをとおしたかかわりが持てない>ことや障がいにより表情などから<患児の反応や感情の読み取りの難しさ>を感じていた。言葉はまず喋れなくて、目も合わない感じで、何かずっと上見てて、表情がなくて、笑うとか泣くとかなくて。苦しいときだけ体がのけ反ったりとかする子で、(中略)何か全然わかってあげられないっていうのがあって。(事例A)クリスマス会で、何て言うんだろう。反応っていうのかな、患児の反応があんまり、音とかそういうものに関してあまり反応がないから、こっちも何か楽しんでるのか、ま、泣いてないからまあ楽しそうなのかなって思ったりとかちょっと、いわゆるその子の感情が何か読み取れない部分が多かったので。(事例D)また、これまでの実習では成人期や老年期の患者を対象に実習をおこなっているが、小児看護学実習では対象が小児期であるという特性上、<泣かれることへの戸惑い>や、<リハビリテーションに患児の気持ちを向けることへの難しさ>を感じていた。―10―清水いづみ・畑中めぐみ・大村政生・山田恵子・石井真・山田知子・石黒彩子表1受け持ち患児の概要

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