中部大学教育研究12
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街中にできた大きなステージでアメリカ人学生と本学の学生で「ソーラン節」を披露していた。なかなか本格的な見栄えのする素晴らしいパフォーマンスであった。この「日本人会」の会長も十数年に渡って本学の卒業生が務めている年が多い。私が滞在していた年も、その前年も本学からの大学院生が日本人会の会長を務めていた。本学の長期海外研修生たちは日本語教育でも重要な役割を担っていた。彼らは、授業の合間に、オハイオ大学での日本語の授業に参加し、日本語での会話相手になっていた。さらに放課後に彼らのConversationPartnerとなり、日本語を教える代わりに、彼らから英語を教えてもらうのである。この関係がさらに広がり、週末にもオハイオ大学生と一緒に過ごすようになり、自然発生的に本当の意味での「国際交流」が生まれていた。また、火曜日の夕方にはアメリカ人のための「日本語アワー」なるものがあったが、この中心となって企画・運営しているのは、やはり本学からの大学院生たちであった。これに、本学からの長期海外研修生たちも参加し、日本紹介や日本語学習の一役を担っていた。日本語学科の先生がたも、中部大学生たちが、オハイオ大学での日本語教育にはなくてはならない存在になっていると話してくれた。私が滞在中にオハイオ大学の図書館では日本の古美術品コレクションの分類と整理、さらにその紹介イベントがあった。アメリカ人の司書はもちろん日本語は読めない。そこで、たまたま、滞在していた私に声がかかりお手伝いしたのだが、その膨大な資料を分類するのは私一人ではとても無理であった。そこで、本学から研修に来ている中部大学生たちに声をかけたところ、十数名が授業の合間に手伝いに来てくれた。図書館からは本当に感謝された。この整理が終わり、このコレクションの披露会があったが、そこでも本学卒業生の大学院生がこの仕事に関わった経験を非常に流暢な英語でスピーチした。中部大学の一員であることをこれほど誇らしく思ったことはない。ちなみにこの学生は、オハイオ大学では博士課程まで進み、日本語のTAをやっている。その年の学部代表のTAoftheYear(最優秀TA賞)として候補にもあがっていた。他にも日本語のTAをしている学生が一人、工学部の博士課程在籍してTAをしている学生が一人いる。私の知る限り合計3名の本学からの大学院生がオハイオ大学でTAとして、実際に教鞭をとっている。7おわりに本稿では、オハイオ大学での一年間の在外研究で観察して気が付いたことを簡単に報告させていただいた。授業環境や分業の徹底は特に印象に残った。これと同じことを本学に期待することはとうていできないが、今後の仕事で非常に参考になることが多かった。一番、嬉しかったのは本学の学生が一生懸命に勉強し、中部大学の代表として、オハイオ大学で活躍していることを確認できたことである。このいい関係がいつまでも続くことを願いたい。最後になったが、この在外研究は非常に私にとって、有意義なものになった。こころよく送り出してくれた英語英米文化学科の先生方、人文学部長、その他関係者に心より感謝したい。注本稿は『JACET-ChubuNewsletter』No.28に報告した内容を大幅に加筆・修正したものである。(教授人文学部英語英米文化学科)―118―塩澤正ソーラン節をメイン通りで披露する本学学生たちスピーチをする本学からの大学院生

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