中部大学教育研究12
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.02)。図8に示すように、「自己開拓」に参加した学生も、対照群の学生も、授業前より授業後の勤勉性が高い傾向にあった。図8勤勉性の平均値3.2毎週の意識の変化「自己開拓」の8週の授業それぞれにおいて測定された8項目の平均値を図9に示す。なお、このグラフにおける第1回から第8回までの回答者は次のとおりであった:第1回144名、第2回138名、第3回121名、第4回121名、第5回134名、第6回133名、第7回49名、第8回134名。第7回授業における調査については、一部に不備があったため以降の分析から除外した。8つの項目得点それぞれについて、授業の開講時期(前半・後半;被験者間)×クラス(3クラス;被験者間)×授業週(第1回から第8回、第7回を除く;被験者内)の3要因混合計画の分散分析を行った。その結果、「3.授業の中で他の学生から刺激を受けた」において授業週の主効果(F(6,414)=7.56,p<.001)が見られた。多重比較を行ったところ、第5回、第6回よりも第4回、第8回の得点が高いことが示された。「6.今の自分に自信をもっている」については開講時期の効果が有意であり(F(1,68)=4.52,p<.05),授業前半のほうが後半よりも高い得点を示した。「7.今の自分に満足できない」については、授業週の主効果(F(6,414)=2.48,p<.05)が有意であり、多重比較の結果第1回に比べ第8回の得点が低くなっていた。毎週の回答からは明確な変化は見出されなかったが、おおよそ授業を経るに従って、受講生が他の学生から刺激を受け、自分自身に満足できていない状態がすこしずつ解消されていった様子がうかがえる。4まとめ本報告では、キャリア教育科目のひとつである「自己開拓」の授業効果を2010年度に引き続いて検証する試みを行った。結果から、「自己開拓」を受講することで、自尊感情や進路選択に対する自己効力が向上し、時間的展望が獲得され、部分的にではあるが望ましいセルフ・コントロールや外向性が向上する方向へと変化していく様子がうかがえた。全体として、心理的に望ましい変容が授業を通じてもたらされていると考え―109―キャリア教育科目「自己開拓」の効果図9毎週の意識の変化

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