中部大学教育研究12
122/140

3.1.4セルフ・コントロールの変化日常生活で観察されるセルフ・コントロール行動の個人差を評価する尺度(RRS)の3つの下位尺度それぞれについて、2要因混合計画の分散分析を行った。まず、改良型セルフ・コントロールについては、授業前後の主効果(F(1,202)=8.60,p<.01,partialη2=.04)と、群の主効果(F(1,202)=4.13,p<.05,partialη2=.01)が有意であったが、交互作用は有意ではなかった(図4)。この結果は、「自己開拓」の受講生も対照群の学生もともに授業前よりも授業後の方が、また全体として「自己開拓」受講生のほうが習慣的な行動をより望ましくしていくようなセルフ・コントロールができるようになったことを意味する。「自己開拓」の受講生独自の効果は見出せなかったが、「自己開拓」の受講生についても授業前後で得点の上昇が観察された。図4改良型セルフ・コントロールの平均値外的要因による行動のコントロールについては、主効果、交互作用ともに有意ではなかった。図5に示されているように、いずれの群も得点変化は殆ど見られなかった。図5外的要因による行動のコントロールの平均値調整型セルフ・コントロール(図6)については、有意な交互作用が見られた(F(1,202)=15.62,p<.001,partialη2=.07)。単純主効果の検定を行ったところ、授業後における群の単純主効果(F(1,404)=20.93,p<.001)と「自己開拓」受講者群における調査時期の単純主効果(F(1,202)=31.37,p<.001)が有意であった。調整型セルフ・コントロールは、ストレス場面においてよりうまく感情や思考をコントロールできることを意味する。「自己開拓」受講生は、授業前よりも授業後においてこのコントロールがうまくいくようになっている様子がうかがえる。なお、小塩他(2011)によると、2010年度の授業では改良型セルフ・コントロールにおいて「自己開拓」受講生のみ得点の上昇が見られたが、外的要因や調整型ではそのような効果は見られなかった。2011年度では調整型において明確に得点変化が見られたが、いずれにしても「自己開拓」の受講生の間で、望ましいセルフ・コントロールの変化が見出されたことになる。図6調整型セルフ・コントロールの平均値3.1.5パーソナリティの変化ビッグファイブの5つの得点それぞれについて2要因混合計画の分散分析を行ったところ、図7に示すように、外向性において有意な交互作用が見られた(F((1,211)=11.81,p<.001,partialη2=.05)。単純主効果の検定を行ったところ、「自己開拓」受講生において調査時期の単純主効果が有意であった(F(1,211)=18.58,p<.001)。図7外向性の平均値また、勤勉性においては調査時期の主効果のみ有意であった(F(1,211)=4.70,p<.05,partialη2=―108―小塩真司・ハラデレック裕子・林芳孝・間宮基文・後藤俊夫

元のページ  ../index.html#122

このブックを見る