中部大学教育研究12
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4結果4.1対象者の基本属性調査用紙の回収数は、実習前92部、実習後92部であった。前後ともに回答し、欠損値が無い81部を分析の対象とした。性別は、男性12名(13.0%)、女性80名(87.0%)であった。年齢は21歳~23歳、平均は21.6±0.7歳であった。4.2協同作業の認識協同作業認識尺度による実習前後での変化では、第1因子である【協同効用】が有意な差(p<.01)を示した。第2因子【協同志向】と第3因子【互恵効用】においては有意な差は認められなかった(表1)。第1因子の質問項目では、6つの項目に有意な差が見られ、「2.協同することで、優秀な人はより優秀な成績を得ることができる」(p<.01)、「3.みんなで色々な意見を出し合うことは有益である」(p<.05)、「4.個性は多様な人間関係の中で、磨かれていく」(p<.01)、「7.一人でやるよりも協力したほうが良い成果を得られる」(p<.01)、「8.グループのために自分の力(才能や技能)を使うのは楽しい」(p<.01)、「9.能力が高くない人たちでも団結すれば良い成果を出せる」(p<.01)は、実習後の得点が有意に高くなっていた。第2因子の質問項目では、2つの項目に有意な差が見られ、「11.みんなで一緒に作業すると、自分の思うようにできない(逆転項目)」(p<.05)、「15.グループでやると必ず手抜きをする人がいる(逆転項目)」(p<.01)は、実習後に得点が有意に高くなっていた。4.3グループの関係性実習前後のグループの関係性を検討するために、前後で平均点の比較を行ったところ、すべての下位尺度において有意な差(p<.01)を示し(表2)、実習後の関係性は広く深くなり、グループへの協力度や満足度が強くなっていた。4.4社会的スキル実習前後の社会的スキルを検討するために、前後で総得点と質問項目ごとの平均点の比較を行ったところ、総得点と7項目で実習後に平均値が有意に上昇した(表3)。4.5協同作業の認識と社会的スキルの関係実習後に協同作業認識尺度の得点が高くなった55名(67.9%)を上昇群、変化がなかった2名(2.5%)を変化なし群、低下した24名(29.6%)を下降群とした。上昇群と下降群の実習前後の社会的スキルを比較したところ、上昇群が実習後に社会的スキル得点が有意に高くなっていた(p<.01)(表4)。下降群は変化がなかった。5考察5.1協同的なグループ活動の体験による影響成人実習の前後において、協同作業認識尺度の第1因子【協同効用】が有意に高くなっていた。学生が成人の実習期間に行ったグループ活動を肯定的に捉える―102―松田麗子・牧野典子表1実習前後における協同作業認識尺度の得点比較表2実習前後におけるグループ活動の効果の得点比較

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