中部大学教育研究12
111/140

4まとめ本報告では、25年間にわたる学生相談室アンケートから、中部大学選択理由、進学目標、学科選択理由、学業への取り組み方、教員とのかかわり方、かかわり希求、学科選択満足度の7つに焦点を当て、入学年度に伴う変化を検討した。以前に比べて近年の新入生は、大学や学部・学科の特徴を調べて魅力を感じ、また教師や親の勧めに後押しされながら入学する傾向にあり、多くの新入生は専門的な学問や技術を身につけることを目標としている。特に近年は、就職や将来のことを考える新入生が増加しているが、これは実学にかかわる学部・学科の増加にも関係しているのではないかと考えられる。また、以前よりも最近の学生は、教員に対して積極的に話しかけようとする傾向にある。そして、近年は学科を選択したことに対する満足度が高い傾向にあるといえる。加えて、経年変化なく50%弱の学生が教師とのかかわりとして「相談・アドバイス」の希求を選択していることも興味深い。四半世紀にわたり、教師に相談やアドバイスを欲している新入生の実像に迫る必要があると思われる。全体として、中部大学に進学するにあたっての学生の意識という点から見ると、積極的で真面目な学生が増加する傾向にあるように見受けられる。興味深いことに、各項目の入学年度ごとの変化を見ると、学部や学科の増設による急激な変動というよりは年度を経るごとになだらかに回答率が変化するようにも見受けられる。このような変化が受験生全体の意識の変化に一致するのかどうかについては、本学以外の意識調査に照らし合わせて考える必要があるだろう。文献願興寺礼子・小塩真司・桐山雅子(2007).中部大学新入生の心理的健康の年次変化―UPIの得点,健康や精神衛生上の問題・治療歴の有無,悩みの有無・内容について―中部大学教育研究,7,63-68.大西良三(編)(2009).学校法人中部大学七十年史学校法人中部大学小塩真司・願興寺礼子・桐山雅子(2005).中部大学入学生における志望理由・目標・学科選択理由の変化-1988年度入学生から2004年度入学生までの比較-中部大学教育研究,5,15-24.小塩真司・願興寺礼子・桐山雅子(2006).2006年度入学生における進学目標・学科選択理由・満足度の学部間比較中部大学教育研究,6,87-92.小塩真司・願興寺礼子・桐山雅子(2007a).中部大学人文学部の新入生における学科選択理由の分析―97―中部大学新入生の意識変化図7入学年度別の学科選択満足度各選択肢への回答比率0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%100%19881989199019911992199319941995199619971998199920002001200220032004200520062007200820092010201120121.2.3.4.5.6.

元のページ  ../index.html#111

このブックを見る