中部大学教育研究12
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0.010.020.030.040.050.060.070.019881989199019911992199319941995199619971998199920002001200220032004200520062007200820092010201120122.1.3.7.5.8.4.6.学の就職状況の悪化とともに、この項目の選択率は上昇する傾向にあるといえよう。「5.教員や友人などとの人間的接触を得る」については逆に、2003年度以降において選択者数が有意に少なくなっていた。2012年度新入生においては、この項目への選択率は15%未満にまで低下している。目的志向性は高いものの、学内の人間関係に交流を期待しない学生像が見受けられる。「6.とくにない」「7.わからない」「8.その他」の3項目については選択率も5%未満であり、大きな入学年度による差も見られなかった。3.3学科選択理由学科選択理由の各項目への入学年度ごとの選択率を図3に示す。選択率の差は有意(χ2=407.70,df=161,p<.001)であり、残差分析を行ったところ次のような特徴が見られた。学科選択理由については、「1.自分の適性を考えて自分で」と「2.就職や将来性を考えて自分で」の2つの理由がともに5割前後の選択率となっている。残差分析の結果、前者については92年度が高く、88,89,11,12年度は低くなっているのに対し、後者は97,98,99年度が低く、89,08,10,11,12年度が高い傾向にあった。特に近年では、自分の適性よりも就職や将来性への意識が学科選択を促す傾向にあるようである。「3.合格の可能性を考えて」については、88,91,94,97,99年度が高く、08年度以降は低い傾向にあった。08年度以降、この項目の選択者は10%未満となっている。また他の項目についてはいずれも5%未満の選択率であり、入学年度による差も明確ではなかった。3.4学業への取り組み方学業への取り組み方の4項目への入学年度別の回答者比率を図4に示す。選択率の偏りは有意であり(χ2=368.42,df=69,p<.001)、調整済み残差から次のような特徴が見出された。「1.早く実社会へ出て専門を生かしたい」への選択については、99,00,06,07,08年度が低く、95,04,12年度が高かった。「2.大学での勉学は単位がとれる程度でよい」については、88,89,00,01,04,11,12年度が低く、97,98,05,08年度が高かった。「3.単位を修得できるかどうか不安」については、94,02,03,04,05年度が低く、00,06,07,08年度が高かった。学業への取り組み方については、入学年度を経るごとに一定の方向への変化が見られるわけではない。多くの学生は「早く実社会で専門を活かしたい」もしくは「単位を修得できるかどうか不安」という積極性と不安のいずれかの項目への選択に分散しており、「単位が取れる程度で良い」という消極的な学業への取り組みを示す学生はほぼ10%程度に限られている。単位修得の不安については、オリエンテーションや学生への丁寧な説明等で対応できる問題であると考えられるので、何らかの対応が望まれるであろう。3.5教員とのかかわり方教員とのかかわり方4項目への入学年度別の回答者比率を図5に示す。回答の偏りは有意であり(χ2=976.56,df=69,p<.001)、標準化された残差の値から次のような特徴が見られた。「1.積極的に話しかける」への選択率は、93年度から01年度にかけて低く、07年度以降は高くなっていた。「2.きっかけが分からない」への選択率は、98,―94―桐山雅子・小塩真司・願興寺礼子・佐藤枝里図3入学年度ごとの学科選択理由の選択者比率

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