中部大学教育研究12
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表2分析に用いた項目と選択肢2.3分析方法いずれの回答についても、複数選択可能な項目については各入学年度において1000人あたりの選択者数を算出し、その選択者数に対してカイ2乗検定と調整済み残差を算出することで入学年度による選択者数の変化を検討した。また、単一回答の項目については、各項目の選択者数そのものをカイ2乗検定と調整済み残差の分析対象とした。3結果と考察3.1中部大学選択理由中部大学選択理由の各項目への選択率を入学年度ごとに示したものが図1である。なお図1の項目は、選択率の高い順に示してあるため、以下の説明もその順番に行う。1000人あたりの選択者数を算出し、カイ2乗検定を行ったところ回答の偏りは有意であった(χ2=1401.53,df=184,p<.001)。調整済み残差の値から、次のような傾向が見られた。「4.本当は他の大学へ進学したかったが、希望の大学に入れなかったので」については、88,91,95,98,02,03の各年度が高く、00,04,06,07,08,12年度が低い傾向にあった。全体としてこの項目への選択率は高いものの低下傾向にあり、他大学を希望していたが希望の大学に入れず中部大学に入学したという意識の新入生は低下傾向にあった。AO入試や推薦入試など、進学内定時期の早期化が背景にあることが考えられよう。「3.学力を考えて」については、88,89,90,91,10年度が低く、99,04,05年度は高い傾向にあった。80年代から90年代にかけてこの項目の選択率は上昇したが、2000年代以降は小幅な上下を繰り返している。「1.大学の特徴、学科の内容をよく知っていて、良いと思ったから」については、全体として2000年度以前は低く、2001年度以降は高い傾向にあった。以前に比べ、近年の新入生は大学や学部、学科の特徴を吟味した上で受験する傾向にあると言える。オープンキャンパスやホームページによるPR活動が功を奏しているのではないだろうか。「7.推薦入学ができたので」については、88,89,90,00,06年度が高く、99,02,03,04,05,09,11,12年度が低い傾向にあった。以前に比べ入学者数に対する推薦入学の枠は拡大しており、推薦入学をすることができたからという理由をあえて大学選択の理由として挙げる割合が低下しているのかもしれない。「2.通学距離、家庭の事情でなんとなく」については、明らかに近年になるにつれて選択者数が減少し、2000年代以降は一定数で安定していた。およそ15%の学生がこの項目を選択しているが、90年代初頭のバブル経済崩壊直後に比べると、家庭の事情を大学選択理由に挙げる新入生は少なくなっているようだ。「6.先生や親にすすめられたので」については、88,07,10,11,12年度が高く、92,93,94,99年度が低かった。特に近年、この項目への選択者数が上昇していると言える。「8.なんとなく」については、90年代終わりと07年度が高いが、近年は低下傾向にある。何らかの明確な意識をもった進学理由が増えているといえるだろう。「9.その他」および「5.友達にこの大学へ進学する者が多かったので」については、全体の選択者数も5%未満であり、入学年度による明確な変化も見られなかった。―92―桐山雅子・小塩真司・願興寺礼子・佐藤枝里

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