中部大学教育研究11
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また、5例ともスタッフからの指導を受けながら業務に取り組むも、学校での教育内容と臨床現場での違いを感じ、とまどいもあった。臨床実習においては現場の雰囲気なども味わえ、有意義であると感じており、臨床実習時間の増加を望む声もあった。臨床実習における教員サポートは、担当教員が各々の実習施設を巡回訪問する形式で行っている。教員サポートは、慣れない実習施設で不安になっている学生の心細さに対して、ひと声掛けることで、心強く感じてもらうことや、学生が困った時にすぐ対処したことが好評であった。CE-5においては、学校での工学系の講義内容は国家試験対策的なものでよいと感じている。これは、職場での仕事内容が、臨床業務に重点を置いているためと考えられる。8おわりに今回は質的研究手法を用い、臨床工学技士の育成について検討した。臨床工学技士教育における研究はまだ始まったばかりであり、現状の理解を含め研究課題を導き出す段階の研究を行い、まさに問題探索型の研究成果を得た。さらに各事例のまとめを一覧表にすることで、一致点や相違点を明確に比較することが出来た。今回の5例においては、職場環境が良好であり、職場内で指導を受けながら業務に取り組めていることや、学校での教育内容と臨床現場とのギャップがあることの共通性を認めた。今回行った研究では、臨床現場で求められている具体的な教育をして欲しいという要望についての質問や、被験者がさらに経験を積んだ時点での調査の実施、また、人工透析・人工心肺など部門別に分析することについては、検討していない。本研究のような調査は、アンケート調査と同様に、教育改善の一つの方法として有用であると考える。参考文献1)米澤久幸他,“臨床適応力を高めるカリキュラムと臨床実習のあり方研究”,中部大学生命健康科学研究所紀要,Vol.6,2010年3月2)戈木クレイグヒル滋子,“グラウンデッド・セオリー・アプローチ”,p27-41,新曜社,2006年講師生命健康科学部臨床工学科福田信吾講師生命健康科学部臨床工学科武田明教授生命健康科学部理学療法学科米澤久幸講師医療技術実習センター宮本靖義講師医療技術実習センター矢澤浩成国立病院機構東尾張病院藤部百代―74―福田信吾・武田明・米澤久幸・宮本靖義・矢澤浩成・藤部百代表2断片化、コード化の一覧

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