中部大学教育研究11
76/134

がある。ただ、「なんのために中国語を教えるか」という「教育目的」が、「なにを教えるべきか」という「教育内容」の決め手となり、さらに「どう教えるべきか」という「教授方法」選択のカギともなる(胡、2009)。本学科における教育では「中国語の高度で実際的なコミュニケーション能力を身につけた上で、政治、経済、文化、ビジネスなど広い視野から中国を理解し、中国・アジアと日本を結ぶ実社会の現場で広く活躍できる人材の養成」をその目標としている以上、本学科における中国語教育もそれに合致するものでなければならないし、それに従った「教育内容」を今後とも吟味検討してゆかねばならない。さて、「どうやって教える」についてはどうであろうか。個々の教員のそれぞれの授業における取り組みの多くはまだまだ「テクニック」の水準であるように思う。今後は、ある「テクニック」を採用した理由、ある「テクニック」を採用した成果についての「アプローチ」的な分析と研究を重ね、「テクニック」の水準にとどまらない、より普遍化され、より一般性のある「メソッド」にまで昇華させられるよう研鑽を続けてゆかねばならないだろう。最後に、本学における通常授業と北京における夏期研修の連繋の可能性について考えてみたい。今回、報告者にとっては、北京での研修中、現地の教員と比較的密接な連絡と意見の交換をすることで授業の進度や内容について認識を共有することができた。今後はそれぞれの授業でフォローできる部分と不足する部分については、本学と外交学院との相互連携、相互補完が求められよう。教授内容の選定や配置といった点を双方で協議検討することにより、共同で教材を開発するなどしてカリキュラムを一本化し、春学期の授業内容を北京夏期研修へシームレスに引き継ぎ、また本学での秋学期の授業につなぐことができれば、より効率的な授業の運営ができるのではないかと思われる。また、外交学院の中国語教員が本学に半年から1年単位で赴任し、本学での中国語教育に当たれるような教員派遣の制度を整備することで、1年次の中国語教育だけでない、学科の中国語教育全体への波及効果を期待することもできよう。平成22年12月に外交学院から中国語教員を招聘し行った交流活動についての報告も第2項でされているように、本学と外交学院との相互連携、相互補完の動きはすでにはじまっている。謝辞本報告における取り組みには、平成23年度中部大学特別研究費(CP)「中国語中国関係学科における中国語教育の効果の検証と成果の共有の方途を探る」の一部を使用した。参考文献・澁谷鎮明、黄強、和田知久「中国語中国関係学科1年次夏期語学研修報告-教育的効果と研修の運営に関する考察」『中部大学教育研究』No.9、2009年12月・馬樹徳主編『現代漢語高級教程上』北京語言大学出版社、2002年8月・胡玉華『中国語教育とコミュニケーション能力の育成』東方書店、2009年3月講師国際関係学部中国語中国関係学科和田知久講師国際関係学部中国語中国関係学科于小薇講師国際関係学部中国語中国関係学科宗助教国際関係学部中国語中国関係学科伊藤正晃―69―中国語中国関係学科における北京夏期研修と通常授業との連携に向けた取り組み

元のページ  ../index.html#76

このブックを見る