中部大学教育研究11
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して考えるべきであり、受講生自らがこれらの企業の研究を組織的に行うことそのものが、一種の「業界研究」、「企業研究」になるのではとの意見があり、この科目にキャリア教育としての意味合いも持たせることとした。文系学科の場合、就職先は「専門」に偏らず多様になるのが普通であるが、本学科は「中国」をターゲットとするやや特殊な学科であることから、この試みが広い意味での学科独自の「キャリア教育」になるのではないかと考えながら授業計画を作成した。特に全学で3年次に行われているインターンシップは、就職のために重要な役割を果たすものと認識されているが、就職そのものや就職先、あるいは企業のイメージがない学生の場合、いくら指導してもそもそもインターンシップ制度そのものに反応しにくい。この点については、2年秋学期に就職先や企業を意識させた内容の演習科目があることは重要ではないかと考えられる。なお、研究入門Bの担当者とクラス編成については、2クラスを開講し、経営・経済学を専門領域とし、中部圏の中国進出企業に詳しい舛山と、学科主任であり学科の就職関連情報が入りやすい澁谷が担当することとした。3研究入門Bにおける「中部圏の中国進出企業」授業計画次に、このように社会科学入門と、キャリア教育的側面の双方を持った「研究入門B」の授業計画と、教授内容、ねらい、受講生の評価などについて報告したい。表1は、平成10年秋学期開講の研究入門Bの授業計画である。これを見ると、授業の構成は、おおよそ5つのパートに分けられており、この時期に行われる3年次のゼミ(演習A・B)選択のための第3パート「3年ゼミ選択について」を除き、受講生が中部圏を中心とした日本企業の中国進出への動きと理由、業種や企業ごとの進出背景などについて考察し、そのような企業で働くことについて、レクチャーや見学などの体験を通じて考察するという内容になっている。また基本的に①教員側の概説→②体験・見学等→③学生側の作業という流れを意識している。第1パートは、本学科で毎学期作成している、将来の進路とそのための手順を書き、それを後に自己評価させる「キャリアシート」の作成とともに、現在中部圏の企業で勤務している本学部の卒業生を呼び、教員が受講生の質問も受けてインタビューするという「体験」を準備した。なお、卒業生の予定に合わせて日程の調整を行ったため、第2回授業にも第2パートの内容が入っている。第2パートでは、学生の作業に先立って、舛山が「中部圏の企業の特徴と中国進出」について、1回分の時間を使って概説を行った。その後、概説の内容と、教員側が作成した中部地方の中国進出企業リストをもとに、受講生はグループワークを行い、代表者による発表が行われる。この際には、ゼミ形式の授業において、教員からの質問があり、これを通じて中部圏の企業の特性と中国進出の理由や経緯について理解を促した。さらにこれらの作業が終わった後で、合同授業にて「中国進出企業経営者のレクチャー」として、K社長の講演をお願いした。―56―澁谷鎮明・舛山誠一表1中国語中国関係学科「研究入門B」授業日程

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