中部大学教育研究11
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互作用が有意であった(F(1,155)=6.05,p<.05)。単純主効果の検定を行ったところ、「自己開拓」受講者群における調査時期の単純主効果が有意であった(F(1,155)=14.59,p<.001)。改良型セルフ・コントロールの平均値を図4に示す。これらの結果は、「自己開拓」を受講した学生が受講前よりも、習慣的な行動をより望ましくしていくようなセルフ・コントロールができるようになったことを示唆している。図4改良型セルフ・コントロールの平均値外的要因による行動のコントロール(図5)については有意な交互作用は見られず、授業前後の主効果が有意であった(F(1,155)=5.01,p<.05)。したがって、「自己開拓」の受講生もそれ以外の学生も、授業前よりも授業後のほうが、自分以外によるコントロールを認識する傾向にあった。交互作用は有意ではないものの、図5に示すように、特に対照群においてその傾向がやや顕著なようであった。図5外的要因による行動のコントロールの平均値調整型セルフ・コントロール(図6)については、調査時期の主効果が有意傾向(F(1,155)=3.36,p=.07)であった。「自己開拓」の受講生も非受講生も同様に、時期に応じて次第にストレス場面においてよりうまく感情や思考をコントロールできるようなセルフ・コントロールを高める傾向が見られた。図6調整型セルフ・コントロールの平均値3.2.5パーソナリティの変化自己開拓の授業がパーソナリティの変化に影響をおよぼすかどうかを検討するために、TIPI-Jの5つの下位尺度得点(外向性、協調性、勤勉性、神経症傾向、開放性)それぞれについて、2要因混合計画の分散分析を行った。分散分析の結果、外向性(図7)において、有意な調査時期の主効果が見られた(F(1,155)=6.67,p<.05)。従って、「自己開拓」の受講生もそれ以外の学生についても、授業前よりも授業後のほうが、外向性得点が上昇する傾向にあると言える。図7外向性の平均値また、勤勉性(図8)において、有意な傾向の交互作用が見られた(F(1,155)=3.50,p=.06)。単純主効果の検定を行ったところ、「自己開拓」受講生における調査時期の単純主効果が有意であった(F(1,155)=5.43,p<.05)。交互作用が有意ではないため、あくまでも参考程度ではあるものの、「自己開拓」の受講生は非受講生に比べ、物事に真面目に取り組んだり計画を立てたりすることに関連するパーソナリティ特性である勤勉性が上昇する傾向にあるようである。―52―小塩真司・ハラデレック裕子・林芳孝・間宮基文

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