中部大学教育研究11
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図形処理(2年生春学期、選択)本授業は、工学部の全学生を対象として、製造技術としての3次元CADの役割と位置づけ、および3次元CADによる図形処理の基本技術を習得させることを目的としている。設計製図を専門としない学生に対しても3次元CADを利用した設計の面白さを認識させ、CADで用いられている基本的な機能(形状作成、座標変換処理など)と数学の関係を理解させるために、日頃馴染みのある商品や玩具などを参考にして自ら考えた製品の3次元モデルをSolidWorksを用いて作成させている(図13)。このようにして自発的に考えさせることによって創造力が養われる。また、前記のCAD/CAMと同様、課題の選択理由、作成目標、作成過程、完成作品などを1枚のパワーポイントにまとめ(図14)、それを人前で発表することにより、学生は表現力の重要性を理解するようになる。先端CAE実習(3年生春学期、選択)工学全般への学習意欲の向上、実社会での適用能力の基礎の習得を目標として、基礎物理,基礎化学などをベースとし,材料試験、有限要素解析および簡易な内容の先端CAEを教えている。商品を構成する材料の変形特性は,製品の性能,製造技術の最も重要な情報である。伸張試験機を用いて、身近な材料(例えば、ゴミ袋などに利用されるフィルムやジーパンの布など)の引張り特性を調べるとともに、構造解析用ソフト(LS-DYNA)を用いて有限要素法による解析を行う。さらに,材料の引張り特性が材料の基本的な構成単位(分子構造など)に依存することから、分子シミュレーション用ソフト(ODYSSEY)を用いて材料分子のミクロな世界を体験的に学習する(図15)。6授業評価と授業改善CAD/CAM/CAE関連教育に対する取組みの成果を表3にまとめた。また、魅力ある授業づくりをめざして本学で実施されている「学生による授業評価」の評価項目のうち、「設問8この授業は総合的に魅力的な授業でしたか」は学生の満足度を知る指標となるため、CAD/CAM/CAE関連科目の評価ポイント(9科目の平均値)と大学全体の評価ポイントを比較してみた。年度によってポイント差は多少異なるが、常にCAD/CAM/CAE関連科目のポイントが大学全体のポイントを上回っている(図16)。なお、工学部におけるCAD/CAM/CAE教育では、教育GPの取組みの一環として、授業科目ごとにFDシート(計画項目、計画留意点、実施項目、評価・問題点、対応を記載)を作成して、授業担当者間で評価し合うとともに外部評価委員会を設け、PDCAサイクルを回すことによって授業改善に努めている。―40―岡明彦・佐伯守彦・石鍋雅夫・石井清・塩見弘幸・後藤英雄・渡辺健治・細川健治表3取組みの成果図14学生の発表パワーポイント図133次元CADによる学生の作品例『最近街でよく見かけるロードバイク』

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