中部大学教育研究11
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および発展教育に使用するソフトウェアである。この設備更新によって、ハイエンドな3次元CADの設計に加え、強度計算などの構造解析や数値シミュレーション、さらには機械加工、機能評価まで“ものづくり”の一連の工程を体験できる実習中心型の教育環境の基盤が整った。また、本稿の題目と同名の取組みが文部科学省の2008年度「質の高い大学教育推進プログラム(教育GP)」に採択され、高機能CAM装置、基板加工機、および分子シミュレーションソフトウェアを始めとする各種シミュレーションソフトウェアを購入して、より一層の環境整備を行った。3学生教育の目的本学工学部における教育の特色の一つに、“ものづくり技術”開発の手法を学び、学生の自ら学ぶ姿勢、デザイン能力、コミュニケーション能力および技術者倫理的洞察力を育成・強化することによって問題提起・解決型人間を育てる創成科目がある。この創成科目で育まれた力を活かすとともに、可能な限り創成科目の手法を取り入れたCAD/CAM/CAE教育を行うことによって、あてになる実践型設計技術者を育てることが我々の目的である。4実践的教育の概要工学部で実施されているCAD/CAM/CAE関係の授業科目を表2に示す。設計製図を学科専門科目に持つ機械工学科、電気システム工学科、電子情報工学科、都市建設工学科、建築学科と設計製図を学科専門科目に持たない応用化学科や情報工学科では教育内容が異なる。また、設計製図を専門とする学科間でも教育内容に違いがあるが、各学科で実施している実践的教育の概要は、以下のとおりである。機械工学科では、まずAutoCADにより製図法の基礎や図面に関する基礎教育を行い、その後SolidWorksを用いて、3次元CADやCAEの基礎および発展教育を行う。さらに、設計したモデルをラピッドプロトタイピング装置(図2)を用いて試作(CAM)することによって、実用的な工学教育を実施している。またCATIAによる3次元CADの応用とエンジニアリングデザインへの展開を行う応用教育も実施されている。電気システム工学科では、CADと回路製作機能を融合させた基板加工機(図2)を用いて総合的な設計力を育んでいる。電子情報工学科では、数学、物理学、電気回路、電子回路および半導体工学等の理論を活用して回路設計を行う教育の一環として、SPICEを用いたシミュレーションによって基本回路の動作を理解し、電気・電子回路設計法の基礎を習得させている。都市建設工学科では、AutoCADを用いて製図法の基礎から構造解析・構造設計まで幅広く教育するとともに、設計計算ソフト、有限要素解析ソフト、浸透流解析ソフトなどを導入して、即戦力となる人材を育成している。建築学科では、主にデザイン系と工学系の授業の中でCAD/CAM/CAEに関連する高度なコンピュータ利用による教育が行われ、都市建設工学科と同様、即戦力となる人材を育成している。工学部全学科の学生を対象とする工学部共通科目では、SolidWorksを用いた3次元CADとCAEの基礎教育および構造解析用ソフトウェア(LS-DYNA)と分子シミュレーション用ソフトウェア(ODYSSEYなど)を用いたCAEの発展教育によって、応用化学科や情報工学科など、機械工学科以外の学生にも実践的なCAD/CAE教育を実施している。5実践的教育の具体例機械工学科、電気システム工学科、電子情報工学科、都市建設工学科、建築学科および工学部共通科目における取組みを紹介する。―36―岡明彦・佐伯守彦・石鍋雅夫・石井清・塩見弘幸・後藤英雄・渡辺健治・細川健治表2CAD/CAM/CAEに関係する科目図2ラピッドプロトタイピング装置と基板加工機

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